モアイは、背後のグループが直立姿勢を維持し、左右のグループが揺らして動かした可能性がある。

Illustration by Fernando G. Baptista, National Geographic
 数世紀にわたり解明が試みられてきたイースター島のモアイ像の運搬方法に、新たな説が提案された。 重さ数十トンもある巨大なモアイの大多数は、削り出された石切り場から最大18キロの距離を移動している。車輪やクレーンはもちろん、大型動物の力も借りていない。

 いくつもの方法が試された結果、丸太を並べたコロやロープ、木のそりの組み合わせを活用したに違いないと考えられていた。しかし、ハワイ大学のテリー・ハント(Terry Hunt)氏とカリフォルニア州立大学ロングビーチ校のカール・リポ(Carl Lipo)氏は、「モアイはロープと人の力だけで左右に揺らし、直立で移動するように設計された」という新説を考え出した。

 ハント氏とリポ氏は、考古学者のセルジオ・ラプ(Sergio Rapu)氏の協力を得てアイデアを練り上げた。ラプ氏は南太平洋のイースター島に暮らす先住民ラパヌイの1人だ。3人はモアイを観察し、太った腹部のおかげで前に傾けやすく、アルファベットのDのような形をした重い底部を中心に左右に揺らすことができると考えた。

 2011年11月、ナショナル ジオグラフィック協会の探査協議会が出資した実験で、ハント氏とリポ氏は3本の頑丈なロープを用意。わずか18人が少し練習しただけで、高さ3メートル、重さ5トンのモアイのレプリカを短時間に数百メートル動かせると証明した。丸太は使用していない。

 1986年には、チェコの技術者パベル・パベル(Pavel Pavel)氏がノルウェーの探検家トール・ヘイエルダール(Thor Heyerdahl)氏と17人の助けを借り、高さ4メートル、重さ9トンのモアイを直立させてねじりながら前進させている。しかし、モアイの底部が壊れ、実験の中止を余儀なくされた。

 その1年後、アメリカの考古学者チャールズ・ラブ氏率いる25人のチームが高さ4メートル、重さ9トンの模型を木製のそりの上に直立させ、丸太のコロの上を2分間で45メートル動かすことに成功した。

 現在、ポリネシアの開拓者の血を引く先住民ラパヌイは2000人ほどいる。その多くにとって、謎の答えは実にシンプルだ。ツアーガイドのスリ・ツキ(Suri Tuki)さん(25歳)は、「われわれは知っている」と話す。「像が自分で歩いたのだ」。

Illustration by Fernando G. Baptista, National Geographic

文=By National Geographic staff