始皇帝が埋葬された当時、これらの俑には見事な彩色が施されていた。鮮やかな塗料がかなり残っている俑も発見され、考古学者らを驚かせたという。
以前に発掘された兵馬俑は、顔料が酸化して色がほとんど失われてしまった。しかし、中国とドイツの専門家チームが退色を防ぐ薬剤の開発に成功し、今回の像は鮮やかな色彩を保てるという。
米ナショナル ジオグラフィック誌では、出土した兵士像の姿勢、残存する塗料、銅製の武器など、さまざまな手掛かりを基に、埋葬当時の兵馬俑(へいばよう)1号坑をCGで再現し、画像を公開している。
また今回の調査で、坑内に焼けた跡や木の灰が大量に見つかり、楚の項籍(項羽)が焼き打ちした跡ではないかとする見方を専門家は示している。漢書には、項籍が始皇帝陵を破壊したとの記載がある。秦に滅ぼされた楚の武将であった項籍は、始皇帝死後の秦末期に挙兵して秦を滅ぼし、首都の咸陽を破壊した。兵馬俑坑は咸陽の郊外、今の西安市にある(西安は、項籍を倒した劉邦が開いた漢王朝の都、長安の現在の名である)。
陵墓の建設は、始皇帝が秦の王位に就いた紀元前246年に始まったとされ、完成に30年を要し、動員された労働者は70万人と推定されている。
Photograph by Ruan Banhui, Imaginechina/AP