母の日の陰で:「父の日」の起源と今

2012.06.18
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マニラの舗道で家族とくつろぐフィリピン人の男性(資料写真)。

Photograph by Aaron Favila, AP
「父の日」は、現在ではグーグルのロゴという、おそらくインターネット最高の栄誉をもって祝われているが、歴史的には常に「母の日」の陰に隠れた存在だった。しかし、父親たちはおおむねそれで満足しているようだ。 それでも、家庭内の伝統的役割が徐々に変化するのに伴い、「父の日」への関心も高まりつつある。少なくとも今年見込まれたプレゼントの消費額からは、そのような傾向がうかがえる。「父の日」は、今年は6月17日に世界数十カ国で祝われた。

 今から102年前に始まった「父の日」は、ある意味では「母の日」のおかげで誕生した。1909年、ワシントン州スポケーンに住むソノラ・スマート・ドッド(Sonora Smart-Dodd)氏は、教会で「母の日」の説教を聞きながら、自分を含め6人の子を男手一つで育ててくれた父にも感謝の日があって良いのではないかと考えた。スマート・ドッド氏が地元の教会に働きかけた結果、翌年の6月に初めて「父の日」を祝う式典が開催され、各地へと広まっていった。

 しかし、6月の第3日曜日がアメリカで公式な国の記念日となったのは1972年になってからのことで、リチャード・ニクソン大統領がこの日を「父の日」と宣言した。

◆ハードルが低い「父の日」

 それから40年後の現在、「父の日」に対する父親の満足度は、「母の日」に対する母親の満足度を上回るという。アメリカにあるマサチューセッツ大学アマースト校の心理学者で、父の日をめぐる現象を研究しているニコール・ギルバート・コート(Nicole Gilbert Cote)氏の調査結果だ。

 母親の満足度が低い理由として、母親は料理や掃除などの家事から解放してもらえる日を期待しているが、実際にはそうもいかないという状況があるようだ。

「父親は元から期待のハードルが低く、今の『父の日』のあり方に満足している」とギルバート・コート氏は述べている。

 しかし、「父の日」に対する男性の意識を探るために、父親350人を対象に行われた最近の調査によると、従来の典型的な父親像も今では変わってきているようだ。

 調査の結果、父親たちは家庭において車や家屋、庭の手入れという昔ながらの仕事をこなす一方、育児や掃除、料理などの家事にも以前より積極的に参加していることが明らかになった。

「家庭の外における女性の役割が拡大するのに伴い、家庭の中における男性の役割も拡大しつつある」と、アメリカにあるラトガース大学の人類学者ヘレン・フィッシャー(Helen Fisher)氏はこの調査に関するニュースリリースの中で述べている。この調査は「父親のためのオンラインリソース」をうたうWebサイト「ManoftheHouse.com」が実施した。

 しかしそうした変化がありながらも、依然として「父の日」より「母の日」のほうが注目度が高いと回答者の80%が述べている。

◆「父の日」の消費額は増加傾向

 アメリカで父親への敬意が高まっていることを示す1つの指標が、「父の日」に費やされる金額だ。

 全米小売業協会(NRF)の年次調査によると、ゴルフや食事、電気製品など、家族が「父の日」のプレゼントに費やす金額は、2012年には父親1人当たり平均117.14ドル(約9300円)にのぼる見込みだという。昨年の消費額から10%増加しており、「父の日」と「母の日」の消費額の差が縮まっている。

 それでも例年、父親が受け取るプレゼントの額は母親を下回る。NRFが予想した2012年の「母の日」の消費額は、母親1人当たり平均152ドル(約1万2000円)だった。

 NRFに2010年に取材したところよると、父親はプレゼントにあまりこだわらず、仕事用のシンプルなネクタイや新しいフライ返しなどで十分に喜ぶのだという。

 一方、「母の日」のプレゼントは宝石や花、温泉旅行、レストランでのディナーなど、「父の日」に比べて豪華になる傾向があるとNRFは述べている。

 それでも、NRFの調査によると、今年はゴルフや食事などの外出やスポーツイベントへの参加などで父親をもてなす人が増え、そのような活動への消費額は合計23億ドル(約1800億円)に達する見込みだという。

Photograph by Aaron Favila, AP

文=John Roach

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