民間宇宙船ドラゴン、打ち上げに成功

2012.05.23
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アメリカ、フロリダ州ケープカナベラル空軍基地から打ち上げられるスペースX社の民間ロケット「ファルコン9」(2012年5月22日撮影)。

Photograph by John Raoux, AP
 スペースX社の民間ロケット「ファルコン9」が、米東部標準時5月22日午前3時44分(日本時間午後4時44分)、フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から打ち上げられた。 ファルコン9は、民間宇宙船として初めて国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングに挑戦する無人カプセル型の「ドラゴン」を搭載している。ドラゴンは約10分後に所定の軌道に入り、打ち上げは成功した。

 当初は19日に予定されていたが、ロケットのエンジン9基の1つで燃焼室に異常な圧力上昇を検出、22日に延期されていた。

 スペースXのCEOイーロン・マスク氏は打ち上げ直後にTwitterで、「ファルコン、打ち上げに大成功! 肩にのしかかっていた重荷が取れた :)」と報告している。

 また、打ち上げ後の記者会見では、「あの瞬間はアドレナリンが全身をかけめぐった。スーパーボウルで優勝したような気分だ。残りのミッションで何が起ころうとも、この成功に変わりはない」と喜びを語った。

 NASA長官のチャールズ・ボールデン氏は、「絵に描いたような見事な打ち上げだった」と記者団にコメントしている。

「アメリカだけでなく世界にとっても素晴らしい日となった。スペースシャトルの退役後、NASAは姿を消したと思っている人もいたが、今日の打ち上げがNASAの存在を証明してくれたと思う。スペースX社との共同チームで大成功を収めることができた」。

 スペースX社社長のグウィン・ショットウェル(Gwynne Shotwell)氏は、ミッションの一環として、ファルコン9で遺灰を地球周回軌道上に放ったことを認めた。

 宇宙葬ビジネスを展開するセレスティス(Celestis)社と協力して実施され、報道によると希望者300人以上の遺灰が搭載されていた。テレビシリーズ『スタートレック』で「スコッティ」(日本語版は「チャーリー」)を演じたジェームズ・ドゥーアン氏や、マーキュリー計画に参加した宇宙飛行士ゴードン・クーパー氏も含まれていたという。遺灰の身元については、ショットウェル氏はコメントしていない。

◆ドラゴン、現在軌道上を飛行中

 ISS滞在クルーへの物資を積んだ円錐形のドラゴンは、打ち上げから約10分後にロケットから分離、太陽電池パネルを広げた。打ち上げを中継したインターネットライブでスペースX社関係者は、「現在、ドラゴンは地球周回軌道上を飛行している」と伝えている。

 今後数日間はシステム制御などの試験を実施し、問題がなければ25日にISSとドッキングする。

 NASA有人探査活動部門の副部門長ウィリアム・ガーステンマイヤー(William Gerstenmaier)氏は、「一部の試験に失敗しても、デモフライト全体としては及第点が与えられるだろう」と語る。

「今後NASAではミッションの進行状況を確認し、データを分析する。小さな問題は克服可能で、民間の補給機の完成に近づく。解決すべき課題が相当残っている場合は、もう一度デモフライトを実施した方がいいだろう」。

 ドラゴンは31日にISSを離れ、南カリフォルニア沖の太平洋に着水、船で回収される予定。

Photograph by John Raoux, AP

文=Ker Than

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