接近中の小惑星、衛星に衝突の可能性も

2012.05.18
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地球を周回する通信衛星(資料画像)。

Illustration by Dieter Spannknebel, Getty Images
 発見されたばかりの小惑星「2012 DA14」が、2013年2月に地球の近傍を通過する。その際に通信衛星と衝突する可能性が指摘されている。 カリフォルニア州パサデナにあるNASAジェット推進研究所(JPL)で惑星天文学の研究を行っているポール・チョーダス(Paul Chodas)氏は、「衝突の確率は極めて低いが、完全には排除できない」と語る。

 2012 DA14は2012年2月に、スペイン南部のラサグラ天文台(Observatorio Astronomico de La Sagra)で発見された。JPLのスティーブ・チェスリー(Steve Chesley)氏によると、望遠鏡では「ぼんやりとした小さな塊」にしか見えないという。

 推定の直径はわずか45メートル。だが、「今のところ軌道が地球と非常に近いため、定期的に異常接近することになる」とチョーダス氏は話す。

 最新の予測によると、2013年2月15日に地球へ大接近し、人工衛星がいくつか破壊される可能性があるという。ただしチョーダス氏によると、高度約2000キロ以下の低軌道を周回する国際宇宙ステーション(ISS)に危険が及ばない。

 しかし2012 DA14の軌道は現在も微妙に変化している。チェスリー氏は、「正確な位置は特定されておらず、軌道の予測には常に不確定性が伴う」と言う。

◆2012 DA14はいずれ地球に衝突?

 NASAでは、今後数十年の間に地球へ衝突する確率を0.031%としている。2013年2月の大接近時に得られるデータによって、数値は若干修正されることになるだろう。

 来年の可能性は低くても、次回の最接近(2020年)以降はどうなるか誰にも分からない。

 その危険性を評価するための手掛かりとなるのが、来年2月の接近距離である。近くに寄れば地球の引力によって軌道が変わる度合いが大きくなり、今後の予測の不確定性も増すからだ。

 もちろん2012 DA14は非常に小型なので、2020年以降に地球に衝突したとしても人類の文明が崩壊する事態には至らないだろう。しかも接近方向から予想すると、地点は南極周辺の可能性がかなり高い。

 ただしチョーダス氏らNASAの専門家が計算したところ、14万トンの質量が陸地に衝突すれば2.4メガトン(TNT火薬240万トン)に匹敵するエネルギーが放出されるという。

 一方、海に落ちた場合には津波が発生するおそれもあるが、「それほど大きくはないだろう」とチョーダス氏は推測する。

◆「存在を知ること」が危険回避の要

 小惑星の専門家であるセントラルフロリダ大学のウンベルト・カンピンス(Humberto Campins)氏は、2013年の大接近を期待している。「不明な点が多かった小惑星を詳細に研究できる絶好の機会だ。将来は衝突を回避するために軌道を変える必要があるかもしれない。学術的な成果だけでなく、今後に役立つ情報も期待している」。

 カンピンス氏と同意見だというJPLのチェスリー氏は、2012 DA14の発見は朗報だと語る。「地球近傍小惑星(地球に接近する軌道の小惑星)の存在が明らかになれば、監視下に置くことができる。真に危険なのは、まだ知られていない天体だろう」。

Illustration by Dieter Spannknebel, Getty Images

文=Richard A. Lovett

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