2011年11月に天王星で発生したオーロラ(白い点)。

Image courtesy Laurent Lamy
 天王星の凍えるような大気を照らすオーロラの撮影に、ハッブル宇宙望遠鏡が初めて成功した。 2011年11月、巨大氷惑星、天王星の昼側で短時間だけ発生したオーロラ嵐を2度にわたって観測したという。

 フランス、ムードンにあるパリ天文台の天文学者で、研究を率いたローラン・ラミー(Laurent Lamy)氏は、「天王星でオーロラ活動の明確な兆候を最後に確認したのは、1986年に最接近したNASAの探査機ボイジャー2号だ」と話す。「今回は、初めて地球軌道上の望遠鏡でこの種の発光を撮影できた」。

◆思いがけない幸運

 オーロラは地球、木星、土星の主に極地で観測される発光現象だ。これらの惑星には磁気圏があり、太陽嵐を遮断する盾の役割を果たしている。

 オーロラは極地を取り巻くように発生する傾向がある。極地には磁力線が収束しており、太陽の荷電粒子が大気に注ぎ込まれる。粒子が大気分子に衝突すると、オーロラの光が放出される。

 1998年と2005年にも天王星でオーロラの観測が試みられたが、失敗に終わっている。2011年9月、ラミー氏のチームは地球から約40億キロ離れた天王星に太陽嵐が直撃する可能性を知った。

 チームはハッブルでの観測のタイミングを太陽嵐に合わせ、約6週間後、天王星の上層大気で燃え上がるオーロラを発見した。「かすかなきらめきを画像に収めた。運が味方してくれたに違いない」とラミー氏は振り返る。

◆天王星の風変わりな性質

 観測されたオーロラは独特の外見をしており、天王星の風変わりな性質と関係があると考えられている。

 太陽系に属するほかの7つの惑星と異なり、天王星の磁場の軸は自転軸から60度ずれている。さらに、自転軸自体も軌道面から98度傾いている。つまり、天王星は横倒しになって転がりながら公転しているように見える。

 天王星のオーロラは非常に短命だ。太陽粒子が入ってくる方向と独特な磁場の方向の違いが関係しているとラミー氏は推測している。「これらのオーロラは磁場の軸を正確に特定するヒントになるはずだ。磁気圏のどの部分が活動しているかについても解明できる可能性がある」。

「磁気圏をはじめ、天王星は謎だらけの惑星だ。しかしついに、謎が少しずつ明かされようとしている」。

◆観測は“緊急を要する”

 ハッブルで天王星のオーロラを撮影できると証明された現在、ラミー氏はもっと観測時間を増やしたいと考えている。「われわれは四半世紀近く、この現象を観測できなかった。しかし今、ハッブルが十分な性能を持っていると明らかになった」。

「残念ながら、ハッブルは寿命を迎えようとしている。その前に、可能な限りチャンスを見つけて遠く離れたオーロラを撮影しなければならない」。

 この研究結果は、アメリカ地球物理学連合が発行する「Geophysical Research Letters」誌で4月14日に掲載された。

Image courtesy Laurent Lamy

文=Andrew Fazekas