“逃亡惑星”の想像図。右下に描かれているのは噴火する火山。

Illustration courtesy David A. Aguilar, CfA
 最新研究によると、ブラックホールの重力によって銀河系中心部から弾き飛ばされ、天の川銀河を移動する“超高速度惑星”(hypervelocity planet)は、最高で時速4800万キロものスピードに達することが予想されるという。 天の川銀河でこれより高速に達することが知られているのは、宇宙線などの亜原子粒子のみだ。

 単独で高速移動する惑星とは、一体どんな世界なのだろうか? まず何よりも、夜空が非常に活発に動いて見えるだろうと、今回の研究の共著者で、ダートマス大学で天文学を専攻する大学院生のアイダン・ギンズバーグ(Idan Ginsburg)氏は話す。

「もしも超高速度惑星の上にいたら、猛スピードで移動しているため、そこから見える銀河は比較的短時間のうちにどんどん遠ざかっていくだろう」。そして最終的に、惑星はおそらく銀河の外へ出てしまうと同氏は述べる。

◆ブラックホールに弾き飛ばされる惑星

 今回の研究は、7年前に初めて発見された超高速度星(hypervelocity star:HVS)にヒントを得たものだ。この恒星は現在、時速240万キロという驚異的なスピードで天の川銀河を脱出しつつある。

 最初の発見以来、天の川銀河では10個以上のHVSが特定されている。高速移動するこれらの恒星は、元は連星系(互いの周りを回る2つの恒星)の片割れだったのではないかと考えられている。

「互いの軌道を回る2つの恒星が、銀河系中心部にある巨大なブラックホールに接近しすぎたとき、2つの恒星は少しずつ異なる距離にあるため、互いに少しずつ異なる力を受ける」と、研究共著者であるハーバード・スミソニアン天体物理学センター(CfA)のアヴィ・ローブ(Avi Loeb)氏は話す。

「この差によって、ブラックホールの強い重力は連星を引き離し」、2つの恒星のうちの一方が高速で外へ弾き出される。

 今回の研究では、このような連星系の周囲を公転している惑星が存在した場合、それらはどうなるかということが検証された。

 コンピューターモデルを使って検証したところ、宇宙空間に弾き出されたほうの恒星は、周囲を回っていた惑星を道連れにする可能性があるという結果が出た。

 もう一方の恒星はエネルギーを失い、再びブラックホールの周囲の軌道に戻るが、戻る過程でその恒星から惑星が引き離され、やはり非常な高速で外へ放り出される。

 超高速度惑星のほとんどは、おそらく時速1100万~1600万キロで移動していると予想される。しかし、コンピューターモデルでは、その3~4倍の速度に達する超高速度惑星も一部存在した。なぜそれほど高速になるのかは不明だ。

◆超高速度惑星の発見に向けて

 単独で移動する超高速度惑星は、いずれも遠く、暗く、速すぎて、現在の観測装置で発見することは不可能と思われる。

 しかし近い将来、高速移動する恒星の周囲を回る惑星を発見できるかもしれないと研究チームは期待している。発見のカギは、トランジットを観測することだ。トランジットとは、地球から見て惑星が恒星の前を通過(トランジット)することにより、恒星の光が若干弱まることを指す。

 銀河系を弾き出されつつある惑星を実際に発見することは、究極的には銀河系中心部付近の様子を知る手がかりになるかもしれない。中心部付近は地球から距離が遠く、塵で隠れているために、その実態はほぼ謎に包まれている。

 今回の研究成果は、次号の「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」誌に掲載される。

Illustration courtesy David A. Aguilar, CfA

文=Brian Handwerk