輝きを増す超新星、近くの銀河で発見

2012.03.21
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棒渦巻銀河M95。今回の超新星発生以前にチリにあるヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡VLTが撮影。左下枠内は超新星発生後のM95。2つの白線に挟まれているのが超新星。

Images courtesy ESO; (inset) Anthony Ayiomamitis
 地球が属する天の川銀河にも近い銀河、M95で超新星の発生が確認された。これまで観測された超新星の中でも最も地球に近い距離で発生したものの1つだという。 3月16日、プロの天文学者やアマチュアの天体観測愛好家が、しし座に位置する棒渦巻銀河、M95の外れに明るい光の点が発生しているのを発見した。それ以降、さまざまな観測グループが、この天体を詳しく追ってきた。

 世界各地での観測に基づき、国際天文学連合(IAU)は20日、この光の点が星の爆発による超新星であることを確認し、SN2012awと名付けた。

 イタリア国立天体物理学研究所(INAF)に所属するウリッセ・ムナーリ(Ulisse Munari)氏によると、これまで発見された多くの超新星は比較的遠い銀河で発生しており、そのため明るさが極大近くに達するまで観測されることはないという。

 しかし今回確認された超新星は地球からわずか3700万光年しか離れていない。これは天文学的な意味ではすぐ隣と言ってもいい距離だ。

 ムナーリ氏はこの超新星について、「既に検知可能な光量に達している」と指摘した上で、今後数日の間によりいっそう明るくなるはずだとの見込みを示した。

 さらに、一部のアマチュア天文愛好家により、SN2012awが現れる前のM95の写真もたまたま撮影されていた。

 これらの画像を超新星発生後に撮影されている多くの画像と比較することで、超新星のごく初期の状態を研究することが可能になる。これにより星が爆発を始めて間もない時期の状況についても、明らかになる可能性が出てきた。

 例えば、SN2012awはいわゆるII型超新星に分類される。これは大質量星の崩壊により発生するものだ。

 ムナーリ氏によれば、「この好機を生かし、(崩壊の結果生じる爆発の最中に)爆発時の衝撃が恒星の内部にどのように伝わるかを調査することもできるはずだ」という。

◆“火星の光害”の中、撮影された銀河の画像

 ムナーリ氏はさらに、超新星発生以前の撮影画像が存在すること自体がかなりの驚きだと話す。

 現在、夜の空ではM95から0.5度離れた位置に火星があるが、地球から見た場合、火星はM95全体と比較しても10万倍の明るさを持つ。

 この火星からの光害ゆえに、M95は多くの天体観測者にとって観測対象として比較的魅力の薄い存在になっていてもおかしくなかったとムナーリ氏は指摘し、さらに「大多数の観測者は火星が離れるまで待とうと、M95には注目しなかった(とみられる)」と語った。

 しかし一部の天体写真愛好家は、それでもM95に望遠鏡を向け続けた。アリゾナ州在住のパリジャット・シン(Parijat Singh)氏もその1人だ。

 ほぼ偶然にM95を撮影していたシン氏は、「火星の光が撮影画像に悪影響を及ぼすとは考えていなかった」と撮影時を振り返る。

 シン氏が撮影した画像に火星の光がかぶっていることに気付いたのは、超新星発生前のM95の撮影を始めてほぼ1時間経った後のことだった。しかし最終的に仕上がった写真には、銀河の姿がくっきりと捉えられていた。

 これについては「運が良かった」と、NIAFのムナーリ氏も語っている。

Images courtesy ESO; (inset) Anthony Ayiomamitis

文=Rachel Kaufman

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