北アメリカ北西部、世界の津波危険地域

2012.03.09
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アメリカのオレゴン州にあるデビルズエルボー州立公園(Devils Elbow State Park)。ここの沖合に、北アメリカで最も津波発生が危惧されている断層がある。カリフォルニア州北部からカナダにかけて1000キロの長さに及ぶ「カスケード沈み込み帯」では、プレートが別のプレートの下に沈み込み、限界を超えると断層破壊が起きる。

Photograph by Phil Schermeister, National Geographic
 アメリカのオレゴン州にあるデビルズエルボー州立公園(Devils Elbow State Park)。ここの沖合に、北アメリカで最も津波発生が危惧されている断層がある。カリフォルニア州北部からカナダにかけて1000キロの長さに及ぶ「カスケード沈み込み帯」では、プレートが別のプレートの下に沈み込み、限界を超えると断層破壊が起きる。 地質学研究から、この地帯では東日本大震災と同等、あるいは上回る規模の巨大地震が数百年周期で発生すると考えられている。樹木の年輪調査により、最後の発生は西暦1700年と裏付けられた。

 アメリカ地質調査所(USGS)のブライアン・アトウォーター氏が数年前に発表したレポートによると、当時は日本にまで津波が到達。アメリカ先住民の間で、「海が立ち上がりカヌーを森へ投げ込んだ」という言い伝えも残っているという。カスケード沈み込み帯に潜む脅威は、このレポートがきっかけとなって初めて専門家に認識されるようになった。

 だがオレゴン州立大学のパトリック・コーコラン氏は、アメリカの沿岸部では残念ながら日本人のような危機意識が希薄だと指摘する。「日本には地震や津波に対して強い警戒心を養う風土があるが、アメリカにはそれがない」。

 アメリカ西海岸を地震が襲った場合、被災者数の予測は難しい。コーコラン氏は10万人程度と概算しているが、観光のピーク時には人口が普段の10倍に膨れ上がる街もあるという。「いわば椅子取りゲームだ。誰が座れなくなるのかは、その時まで分からない」。

Photograph by Phil Schermeister, National Geographic
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