日本のエネルギー、信頼は回復できるか

2012.03.09
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
東京から南に200キロほど離れた浜岡原子力発電所では、周囲に防波堤の建設が進んでいる。福島第一原子力発電所の事故から1年が経過し、浜岡をはじめ日本の原発のほとんどが停止した。

Photograph from Kyodo/Reuters
 2011年3月11日、福島第一原子力発電所を破壊した津波は、いまだ日本のエネルギーシステムを飲み込んでいるようだ。 日本には54基の原発が存在するが、稼働を続けているのは2基のみ。5月上旬までには、どちらも定期検査で停止する。東日本大震災が発生する前、世界3位の経済大国が必要とする電力の3分の1を供給していた原発が利用できない事態になる。

 原子力に代わる化石燃料を持たない日本は、高価な石油や液化天然ガスの輸入にこれまで以上に頼らざるを得ない。

 さらに大きな問題は、電力供給の新たな未来図を描く上で不可欠な民間・公的機関への信頼回復だ。

 アメリカ、ワシントンD.C.にある外交問題評議会の上級研究員として日本を担当するシーラ・スミス氏は、「国民の信頼は打ち砕かれた。原子力プログラムだけでなく政府に対しても反発が強まっている」と指摘する。

◆震災後の電力

 震災前、日本の原発はアメリカとフランスに次ぐ規模だった。温室効果ガスの排出量を減らしながら経済成長を促進するため、日本政府は電力供給に占める原子力の割合を現在の30%から2017年までに40%、2030年までに50%へ増やしていくと表明していた。

 しかし、すべての原発が停止する今年、夏のピーク時の電力需要は供給量を15%上回る可能性が高いと考えられている。2011年の夏は国民全体が需要の抑制に取り組み、電力不足を乗り切った。

「まさに国を挙げての努力だった」とスミス氏は振り返る。「エネルギーの節約が電力不足への1つの答えだと国民は理解している。しかし、2011年に行ったような厳しい削減が長期的に持続可能かどうかは疑問だ」。

 政府と民間電力会社は国民の信頼を取り戻し、原発の再稼働を目指すため、安全対策に取り組んでいる。その対策は、世界中の原発で進められている手法と多くの点でよく似ている。例えば、原発の全ユニットが停止し、停電が長期化しても耐えられる強固で複合的なシステムの構築だという。

◆新エネルギー開発

 中東の緊張が高まっている現在、原子力の代わりに外国の石油や天然ガスへの依存度を高めることはさらなる負担をもたらす。

 そのため、日本では再生可能エネルギーの拡大を求める世論の圧力が高まり、政府も推進を発表。風力発電や太陽光発電を大規模に展開できる広大な土地はないが、屋上に設置するソーラーパネルは普及が進み、新たな技術の研究も進んでいる。

 しかし、現在の原子力の不足分を補えるほど早いペースでは再生可能エネルギーは成長できない。短期的に日本がとれる唯一の対策は、需要を抑制し、燃料輸入を増やす一方、原発の安全性について国民を納得させる努力を続けることだと見られている。アメリカ電力研究所(EPRI)で原子力部門の副責任者を務めるニール・ウィルムズハースト(Neil Wilmshurst)氏は、「電力不足に直面した国民は一致団結し、需要を減らすための並外れた努力を見せた」と話す。「日本の電力産業の未来が決まるまでには長い時間がかかるだろう」。

Photograph from Kyodo/Reuters

文=Marianne Lavelle

  • このエントリーをはてなブックマークに追加