アメリカ、ワシントンD.C.のリンカーン記念館前で除雪に追われる男性。ワシントンD.C.では、2010年2月11日の猛吹雪で記録的な積雪を観測した。

Photograph by Kevin Lamarque, Reuters
 北半球の各地では毎冬、猛烈な寒波や記録的な大雪が観測されるようになった。その原因として北極海氷の急速な減少を指摘する研究結果が公表された。 2007年から2011年にかけて、アメリカの大部分やヨーロッパ北西部、中国の北部・中央部では、早い時期の降雪や記録的な大雪に見舞われた。

 一部の専門家は、北極海氷の減少が背景にあるのではないかと指摘する。アメリカ国立雪氷データセンター(NSIDC)によると、地球温暖化の影響で北極海氷の量は2007年に過去最低を記録している。

 アメリカ、ジョージア州アトランタのジョージア工科大学で気候科学を研究しているリュー・ジーピン氏のチームは、北極海氷の減少と異常降雪との因果関係の証明を試みた。海氷と海面温度に関するデータに、アメリカ大気研究センター(NCAR)考案の気候モデルを適用した結果、海氷の減少と降雪量の増加との間には2つのメカニズムが介在していることが分かったという。

 まず、北極海氷が大きく減少すると大気循環に変化が起こる。その影響で、北極周辺から南に移動する寒気団が勢力を増し、範囲も南方向に拡大。さらに、海氷が融解して海水面積が広がると、より多くの水蒸気が大気中に放出される。水蒸気が広範囲に拡大した寒気により冷やされ、地上に大量の雪が降るという。

 リュー氏は研究結果について、「海氷の減少が今後も続けば、冬期の降雪量はさらに増加し暴風雪なども強大化する可能性があると示唆している」と語る。

 アメリカ、ニューヨーク市にあるNASAのゴダード宇宙科学研究所に所属する気候科学者デイビッド・リンド氏は、海氷と降雪量との因果関係に肯定的だ。しかし、複雑な大気現象がただ1つの要因によって引き起こされる可能性は低いとも指摘する。

 温暖化が進むにつれて、未曾有の気象現象が頻繁に起こるようになると予測されている。リンド氏は、地球温暖化または自然な気候変動のどちらが原因なのか、見極めることが今後の課題だと言う。

「気象現象が永続するかどうかがカギになる。毎年続けば原因は温暖化だろう」。

 今回の研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌オンライン版で2月27日に掲載されている。

Photograph by Kevin Lamarque, Reuters

文=Ker Than