浮遊惑星の数、恒星の10万倍?

2012.02.27
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浮遊惑星の想像図。

Illustration courtesy Caltech/NASA
 生まれ故郷の恒星系からはじき出され、銀河を漂う“浮遊惑星”は、別の恒星やブラックホールの軌道に捕捉されている可能性の高いことが、最新シミュレーションによって明らかになった。また別の研究によると、浮遊惑星の数は従来の予想をはるかに上回る可能性があるという。 かつて天文学者たちは、浮遊惑星が存在する可能性など一笑に付していた。ところがここ数年、間接的な観測とスーパーコンピューターによる詳細なシミュレーションによって、銀河の放浪者は実在する可能性が示唆されている。

 例えば、2月23日に発表された研究によると、浮遊惑星は天の川銀河に2000~4000億個存在するとされる恒星の数を大きく上回り、なんとその10万倍も存在する可能性があるという。これまで予想されていた浮遊惑星の数は、恒星1個に対してわずか2個ほどだった。

 しかし依然としてよくわからないのは、このような浮遊惑星が恒星やブラックホール、さらには他の惑星によって、どのように捕捉されるのかということだ。

 この謎を解明するために、2人の天体物理学者がさまざまな大きさと密度の星団の進化をシミュレーションした。星団は銀河の重力に引かれ、最後は散り散りになる。

 シミュレーションの結果、浮遊惑星を自らの重力に捕捉している恒星は全体の3~6%にのぼる可能性が示唆された。従来の予想よりはるかに多い数だ。

◆浮遊惑星の行き先

 浮遊惑星が元いた恒星系をはじき出されるのには、さまざまな理由がある。例えば、他の惑星との相互作用の結果であったり、恒星がごく近くを通過したり、質量の大きな恒星が超新星爆発を起こし、崩壊してブラックホールになったりといったことだ。

 今のところ、惑星が現在属する恒星系の外から来たものかどうかを確かめる手立てはない。

 しかし、天体物理学者であるハーバード大学のハガイ・ペレッツ(Hagai Perets)氏と、中国、北京大学のM・B・N・カウエンホーフェン(M.B.N. Kouwenhoven)氏は、浮遊しているところを他の天体の重力に捕捉された惑星はすべて、非常に大きく遠い、楕円形の軌道を回っているとみている。

 これらの浮遊惑星は、地球と太陽の1万倍ほどの距離にある天体の軌道にそっと入り込んでいる可能性が考えられるという。「浮遊惑星のデータは、これらがいかなる恒星の近くにも存在しないことを示している」とペレッツ氏は述べている。

◆ブラックホールに捕捉されやすい?

 シミュレーションでは、質量が大きく密度の高い恒星または元恒星ほど、浮遊惑星を自らの重力に捕捉しやすく、ブラックホールは他の天体に比べて、惑星を捕捉する確率が2倍近く高いという結果が出た。密度の高い恒星やブラックホールはそれだけ重力井戸が深くなるため、浮遊惑星が捕捉を逃れることが困難になる。

 シミュレーションの結果、太陽の5~15倍の質量を持つブラックホールの約半数は捕捉した恒星を有しており、また、ブラックホールの5~10%は浮遊惑星を捕捉している可能性が示された。

 フロリダ大学の天体物理学者で、今回の研究には参加していないエリック・フォード(Eric Ford)氏は、この研究成果を高く評価する一方で、惑星、恒星、星団の進化における微妙なタイミングの要素を考慮に入れたシミュレーションが見てみたいと述べている。

 惑星は恒星のライフサイクルの決まった期間に形成され、さらに恒星のライフサイクルには星団のライフサイクルが関わってくるとフォード氏は指摘する。星団があまりに速く拡散してしまうと、恒星どうしの距離が開くため、浮遊惑星が捕捉される確率は格段に下がる。

 惑星は形成されるのに数千万~数億年かかるため、惑星が形成され、はじき出される前にその星団の恒星が拡散してしまうと、惑星は他の恒星系に到達できるだけの十分なスピードを得られないとフォード氏は指摘する。

 浮遊惑星の捕捉に関するペレッツ氏とコウウェンホーベン氏の研究論文は「Astrophysical Journal」誌に提出されており、また、プレプリント版がWebサイト「arXiv.org」で公開されている。浮遊惑星の数が予想より多いとする研究論文は「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」誌に提出された。

Illustration courtesy Caltech/NASA

文=Dave Mosher

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