パプアニューギニアで消滅の危機にあるマトゥカル・パナウ(Matukar Panau)語を記録する言語学者デイビッド・ハリソン氏(中央)。紫色の服を着た男性は、協力したネイティブスピーカーのジョン・アギド(John Agid)さん。マトゥカル・パナウ語は、2月17日に発表された「Talking Dictionaries(話す辞書)」プロジェクトの対象となった8言語の1つである。同プロジェクトは、失われつつある言語の音声をオンラインに保存し、誰でも利用可能にする試みだ。

Photograph by Chris Rainier, National Geographic
 パプアニューギニアで消滅の危機にあるマトゥカル・パナウ(Matukar Panau)語を記録する言語学者デイビッド・ハリソン氏(中央)。紫色の服を着た男性は、協力したネイティブスピーカーのジョン・アギド(John Agid)さん。マトゥカル・パナウ語は、2月17日に発表された「Talking Dictionaries(話す辞書)」プロジェクトの対象となった8言語の1つである。同プロジェクトは、失われつつある言語の音声をオンラインに保存し、誰でも利用可能にする試みだ。◆マトゥカル・パナウ語の例
「ngau nang panau ngagamukgokai」/「私はパナウ語を話す」
「ong ngau gamuk panau」/「あなたは私に話し掛ける」
「ngau ngahau wag adape, nab onon ngabalape」/「カヌーがあれば釣りができる」
「ngau fud wasing ida nganinge」/「私は魚といっしょにバナナを食べた」

 ハリソン氏は声明の中で、「絶滅寸前の言語を持つコミュニティがデジタル技術を利用し、言語の存続を目指すとともに、世界中に自分たちの声を届ける」と説明する。同氏はアメリカ、オレゴン州セイラムにある現存言語研究所(Living Tongues Institute for Endangered Languages)の副所長で、ナショナル ジオグラフィック協会の絶滅言語救済プロジェクトにも参加している。

「Talking Dictionaries」プロジェクトは、ハリソン氏と言語学者グレゴリー・アンダーソン氏が計画。収録された単語は現時点で3万2000以上、ネイティブスピーカーによる単語や文の音声は2万4000以上という。プロジェクトの詳細はカナダ、バンクーバーで20日まで開催されているアメリカ科学振興協会(AAAS)の会合で発表された。

 マトゥカル・パナウ語のほかにも、パラグアイ北部のチャマココ(Chamacoco)語、インドのレモ(Remo)語、ソラ(Sora)語、ホー語、ロシアとモンゴルで話されているトゥバ語、さまざまなケルトの言語が収録されている。言語数は今後さらに増えていく予定だ。

 現存言語研究所の所長で、ナショナル ジオグラフィック協会の会員でもあるアンダーソン氏は、「既にほかの言語の素材も集めており、今後1~2年で辞書にまとめていく」と話す。

 現在、地球上では7000近くの言語が話されているが、2100年までに半数以上が消え去ると予想されている。

Photograph by Chris Rainier, National Geographic