木炭の可能性、マニラのスラム街

2012.01.26
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
フィリピンの首都マニラにあるウリンガン(Ulingan)地区。人々は日々の糧を得るため、近くの廃棄物処分場や建設現場で拾ってきた木材から木炭製造に励む。ゴミと有毒ガスにまみれたスラムの現状を、本稿はさまざまな側面からレポートする。

Photograph by Lisa Wiltse
 フィリピンの首都メトロ・マニラは人口1100万以上の都市群だが、3~5割はスラムの住民だという。「貧困がはびこるスラム街では、汚染、過密、騒音、淀んだ排水、水害が住民に多大なストレスを与えている」と、フィリピン開発研究所(PIDS)の研究員マリフェ・バレステロス(Marife Ballesteros)氏は2010年のレポートで述べている。 同氏によると、マニラのスラム街で違法な木炭生産に携わる人数はごくわずかだ。しかし、炭焼きによる大気汚染が深刻化し、大気汚染防止法の基準値を超過。クリーンエネルギー技術開発への財政支援が必要だと同氏は考えている。

 持続可能な方法で植物などの有機物を収穫し、よりクリーンな燃焼技術を利用できれば、木炭生産で温室効果ガスは増えないとする説がある。温室効果ガスの削減につながる可能性すら期待できるという。

「しかし政策担当者は木炭を低質な燃料だと軽視する。多地域にまたがる不都合な問題は、隠しておけばいいと考えている」と、非営利団体チャコール・プロジェクト(The Charcoal Project)の創設者ジーン・キム・チャイ(Jean Kim Chaix)氏は嘆く。アメリカ、ニューヨークを拠点とするチャコール・プロジェクトは、調理や暖房の熱源を木炭や薪などバイオマス燃料に頼っているコミュニティを対象に、エネルギー効率化対策を策定し、実施に向けた資金援助も行っている。ウガンダでは既に活動中で、コンゴ民主共和国のヴィルンガ国立公園などでも試験プロジェクトを計画中だ。

「政策担当者は木炭の可能性に気付いていない」とチャイ氏は指摘する。しかし、紙、おがくず、農業廃棄物からバイオブリケット(豆炭)を作る試験的な取り組みがまずまずの成果を上げており、今後の状況変化に期待しているという。

Photograph by Lisa Wiltse
  • このエントリーをはてなブックマークに追加