不可欠な木炭、マニラのスラム街

2012.01.26
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穴を掘って木材を積み重ね、湿った土で覆う。都市のスラム地区住民が、手っ取り早く炭を焼く時によく用いられるやり方だ。数日かけてゆっくり燃やすと熱分解が進み、木炭が出来上がる。よく乾燥した木材を利用する方が効率的だが、多くの炭焼きは生木や廃棄物処分場で拾った材料も使う。

Photograph by Lisa Wiltse
 穴を掘って木材を積み重ね、湿った土で覆う。都市のスラム地区住民が、手っ取り早く炭を焼く時によく用いられるやり方だ。数日かけてゆっくり燃やすと熱分解が進み、木炭が出来上がる。よく乾燥した木材を利用する方が効率的だが、多くの炭焼きは生木や廃棄物処分場で拾った材料も使う。 木炭はキャッサバなどのデンプンを結合剤として混ぜ、ドーナツ状や棒状に成形する。この固形木炭をストーブやたき火で使用する。

 クリーン燃焼技術を推進するチャコール・プロジェクト(The Charcoal Project)の創設者ジーン・キム・チャイ(Jean Kim Chaix)氏は次のように述べる。「農村部では木材、都市部では木炭消費が一般的だ。木炭は輸送や貯蔵が容易で、品質や供給量も安定している」。

 チャイ氏によると、多量の木材を消費する伝統的な木炭製造は、環境に著しい影響を及ぼすという。国連食糧農業機関(FAO)の概算では、レンガ窯を使用する本格的な方法でも、よく乾燥させた木材4.5トンから木炭1トンしか生産できない。

 大気中の二酸化炭素を増加させない「カーボンニュートラル」を達成するには、森林の伐採と再生のスピードを釣り合わせる必要がある。しかし、世界の多くの地域でバランスが失われているとチャイ氏は指摘する。

 燃焼時に排出する有害物質が少ない木炭は、薪などの木材より健康面では調理や暖房に向いている。世界保健機関(WHO)の統計によれば、非効率的な薪ストーブの煙を吸引し寿命を縮める人は毎年190万人になるという。全世界のマラリアによる死者数の2倍以上だ。

 フィリピンをはじめとする東南アジア全域では、木炭や木材などバイオマス燃料の用途は調理や暖房だけではない。ココナツ加工、レンガ製造、魚や肉の燻製(くんせい)など伝統産業にも重要なエネルギー源となっている。

Photograph by Lisa Wiltse
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