ケプラー16bに初の系外衛星が存在?

2012.01.11
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系外惑星「ケプラー16b」が周回する連星系の想像図。

Illustration courtesy Caltech/NASA
 2011年秋に見つかった系外惑星「ケプラー16b」は、連星系を周回している可能性が高い。しかし、映画『スター・ウォーズ』に登場する惑星「タトゥイーン」とはかけ離れた存在のようだ。2つの太陽を持つところまでは同じだが、土星規模の冷たい巨大ガス惑星で、映画のように農民が生活できる可能性もないという。しかし、新たなコンピューター・シミュレーションの結果、ケプラー16bを周回する地球型衛星の存在が浮上した。 ケプラー16bの発見に貢献したのはNASAのケプラー宇宙望遠鏡。惑星が親星の前を通過する際、親星の見かけの明るさが低下する現象を検出する。

 アメリカ、テキサス大学アーリントン校の博士課程に在籍するビリー・クォールズ(Billy Quarles)氏らは、連星系ケプラー16に地球と同等の質量を持つ天体が存在すると想定、その配置をシミュレーションしてみた。

 まず取りかかったのは、ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)を定義するパラメータ・リストの作成だ。ハビタブルゾーンとは、恒星から適度な熱を受け、惑星の表面に生命を支える液体水を保持できる領域を言う。

 公転天体が受ける熱と光の発生源は、連星ケプラー16の明るい方と想定。この恒星の大きさと温度から、主要なハビタブルゾーンは5500万~1億600万キロの範囲と割り出した。

◆居住可能な衛星の存在

 土星型惑星ケプラー16bは、親星から約1億400万キロ離れたほぼ円形の軌道を周回している。主要なハビタブルゾーンの外縁部だ。研究チームによると、巨大なケプラー16bは居住不可能だが、周囲を公転する地球型の衛星なら生命を維持できる可能性があるという。

 ケプラー16bの近くで実際に衛星が誕生し得たかどうかは、今後の研究を待たなければならない。しかしシミュレーションの結果は、ケプラー16bが誕生した後、飛来した天体が衛星になると示している。

 詳細なシナリオはこうだ。はるか昔、明るい方の親星のハビタブルゾーンに存在した地球型惑星が、他天体の引力の影響を受け、軌道から外側に放り出された。惑星は移動の途中でケプラー16bの引力に捕捉され、衛星に生まれ変わったという。

 この衛星は、理論的にはケプラー16系の主要なハビタブルゾーンに位置する。そして太陽系のゾーン外縁部を周回する火星と違って、十分な質量があるため地球のように大気を保持できるという。

◆最初の系外衛星?

 ケプラー16bに地球型衛星が見つかれば、初の快挙となる。確認済みの系外惑星は700以上を数え、NASAのケプラーはさらに2000以上の候補を特定している。

 しかし、系外衛星はまだ一度も確認されたことがない。「ケプラー16bの系外衛星は、地球の5分の1の質量があれば検出できる」と研究チームのクォールズ氏は話す。惑星ケプラー16bの軌道は、衛星の引力で揺らぐはずだ。ケプラー望遠鏡ならその微妙なズレを検出できる。

 ケプラーの新しいプロジェクトでは、衛星を持つ惑星を初めて計画的に探索するという。ケプラー16bは絶好のターゲットだろう。「初の系外衛星検出に向け、ケプラー16系は観測対象として注目を集めるだろう」とクォールズ氏は述べている。

 今回の研究は1月9日、テキサス州オースティンで開催されているアメリカ天文学会の会合で発表された。

Image courtesy ESA/NASA

文=Victoria Jaggard in Austin, Texas

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