ノコギリザメの平たく長い吻(鼻先)には両側に“歯”が並んでおり、これを魚群のなかで剣のように振り回し、傷ついた個体を捉えて食べる。
新種のノコギリザメに加え、カスザメの新種も見つかっている。フィリピン、ルソン島沖の深度370メートルの海で採取された単一の標本から、学名Squatina caillietiと名付けられた。
翼のような胸びれを持つカスザメ類は海底に暮らし、沈殿物のなかに体を半分沈め、獲物が通りかかるのを待ち伏せる。
また、カラスザメ科の新種も台湾と南アフリカで2種が発見された。
◆新種発見ラッシュ
最近はサメ・エイ類の新種発見が相次いでおり、今回の発見もその一部だ。エバート氏によれば、ここ10年の間に報告された新種は約200に上るが、それ以前の30年間で見つかった新種は200に満たないという。
しかし、新種のサメの記載は増えているものの、その行動や生息数はほとんど判明していないとエバート氏は語る。
その理由としては、サメ類の多くが狭い領域にしか住めず、生息域が限られていることが挙げられる。また、調査資金が極めて乏しいことも理由の1つだという。
さらに、科学者や環境保護論者の多くが、それぞれの研究で一部のサメ類をおろそかに扱いがちな側面もあると同氏は述べる。
例えば巨大なホホジロザメのような「注目を集めやすいサメ以外の多くの種には、あまり目が向けられていない」とエバート氏は言う。「大海原には、われわれが何も知らない新種がまだたくさん存在するんだ」。
Image courtesy D. A. Ebert and G.M. Cailliet, California Academy of Sciences