“歩く魚”を発見、歩行の起源は水中?

2011.12.13
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シカゴ大学の水槽で軽快に歩くアフリカハイギョ。

Photograph courtesy Yen-Chyi Liu, University of Chicago
 約4億年前に出現し、肺などの両生類的な特徴を持つハイギョ(肺魚)。新たな研究によると、アフリカハイギョの一種はヒレで歩行するという。 これまでにも“海底をヨロヨロと歩く魚”や“手を持つ魚”などが報告されているが、初期の陸生動物と関わりの深い種で歩行が確認されたのは初めて。歩く能力は水中に起源がある可能性が出てきた。

 研究責任者でアメリカ、シカゴ大学の生物学者ヘザー・キング氏は、「足がないのに歩いた。これは驚きだよ」とメールでコメントを寄せた。

 実験室のガラスの水槽でハイギョの動きを観察したところ、腹ビレを使ってガラス面を押したり、面に沿って移動したという。「ヒレを交互に入れ替える“歩行”や同時に動かす“跳躍”など、さまざまな歩き方をする」。

 研究には、以前にナショナル ジオグラフィック協会研究・探検委員会(CRE)の助成金を受けたニール・シュービン氏も協力している。

◆ミッシングリンクにつながる現生生物

 今回の発見は、脊椎動物が数億年前に海から上陸した過程の解明につながる。現生のハイギョやシーラカンスなど、肉鰭類(にくきるい)の魚は、最古の四肢動物(4本足の脊椎動物)に近い種と考えられているからだ。

「数億年前、歩行は四肢動物だけの行動ではなかった可能性がある。陸上歩行の能力は、祖先の魚類から始まっていたのかもしれない」。

 また、従来の化石についても疑問を投げかけている。以前に、足やつま先のような指を持つ初期の陸上四肢動物の足跡化石が発見された。しかし実際には、肉鰭類の魚が水分の多い土の上を移動して残った跡かもしれない。

◆従来の化石の解釈を塗り替える?

 例えば、2010年にポーランドで発見された3億9500万年前の陸生動物の足跡化石だ。「ハイギョのヒレが残すパターンと似ている」とキング氏は指摘する。

「ポーランドの化石には尾を引きずった跡がなかった。ハイギョは歩くとき、空気で満たされた肺を使って、川や湖、沼地の底から体を持ち上げるからではないか」。

「3億9700万~3億9100万年前には、ハイギョと機能的特徴が似ている魚が多数生息していた。四肢動物の足跡とされる化石の中には、そのような魚も含まれているだろう」とキング氏は述べる。

“歩く魚”の研究は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌オンライン版に12月12日付けで発表された。

Photograph courtesy Yen-Chyi Liu, University of Chicago

文=James Owen

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