3・11地震、海底移動は50メートル

2011.12.01
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津波によって破壊された宮城県南三陸町(2011年11月撮影)。

Photograph by Greg Baker, AP
 3月11日に東日本を襲った巨大地震で、海底が50メートルも移動したという研究結果が発表された。海底のずれとしては最大の記録だ。5月の時点では24メートルと報告されていたが、はるかに大規模だったことになる。 この大きなずれが引き起こした巨大津波によって、約2万人の死者・行方不明者と福島第一原子力発電所の破壊を伴う、未曾有の大災害が発生した。

 海洋研究開発機構の冨士原敏也氏らは、1999年と2004年に作成された海底地形図を地震直後のデータと比較。分析では、海底が10メートル上昇した可能性も判明した。

 アメリカ、オレゴン州立大学(OSU)の海洋地質学者クリス・ゴールドフィンガー氏は、「観測が難しいデータを利用した、非常に重要な研究だ」と評価する。

 3月11日の地震は沈み込み帯で起きた初めての地震で、地殻が断層線の端まで動いた痕跡を直接見ることができた。沈み込み帯とは、1つのプレートが別のプレートの下に沈み込む場所を指す。

◆地震の研究が“新たなレベル”に

 沈み込み帯での地震は海底で起きるので、地上からは観測できない。以前は地震波からコンピューターモデルを作成して、海底の動きを推測するしかなかった。しかしゴールドフィンガー氏によれば、結果は非常に不確実だったという。

 例えば、モデルごとに結果が異なる可能性があり、高い精度で動きをとらえることはできなかった。「しかし今回の研究によって、沈み込み帯の動きや津波発生のメカニズムが一層わかるようになった」とゴールドフィンガー氏は語る。

◆地震前後の地図は完璧ではない

 ただし、地震前後の海底地形データは完璧ではないと同氏は注意を促す。地震前のデータは数年前、地震後も2週間近く後になってから記録された。「海底のずれには各データの間に起きたすべての要因が影響している」。

 まず、3月11日の壊滅的な本震以外に、余震も含まれる。さらに、本震以前に小さな動き「クリープ」が発生していた可能性もある。「しかしそれでも大発見に変わりはない。地震前後を比較できるほど正確に沈み込み帯の地形図を作成した例は初と言ってよい」。

 研究結果は12月2日発行の「Science」誌で発表された。

Photograph by Greg Baker, AP

文=Richard A. Lovett

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