ペルム紀大絶滅、わずか20万年で

2011.11.24
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「大絶滅」以前のウミユリの仲間(学名:Jimbacrinus bostocki)の化石。

Photograph by John Cancalosi, National Geographic
 恐竜の時代よりはるか昔、地上に火災が広がり、沿岸の海中では酸素が欠乏するという苛酷な環境の中で、地球上の生物の約90%が絶滅した。このほど発表された研究によると、地球史上最大と言えるこの大量絶滅は、始まってから終わるまで20万年もかからなかったという。 2億5200万年前、ペルム紀(二畳紀)末に起こった「大絶滅(Great Dying)」と呼ばれるこの大量絶滅は、6500万年前に恐竜を滅ぼした白亜紀末の大量絶滅ほど有名ではないかもしれない。だがペルム紀末の大絶滅は、地球上の生命をほとんど消し去るほどの規模だった。今回の研究は、この大絶滅がどのくらいの速さで進行したかを推定したものだ。

 ペルム紀の大量絶滅の原因はいまだ謎に包まれているが、この研究により、これ以後提出される説は、2億5228万年前頃を中心とした20万年というタイムスパンと矛盾しないものでなければならないと論文の著者たちは主張する。数字の根拠となったのは、チベットを含む中国南部で発見された化石と、岩石中に残された炭素循環の変化を示す化学的証拠の分析だ。

 論文の共著者で中国科学院南京地質古生物研究所の古生物学者である沈樹忠(Shen Shu-zhong)氏によると、20万年というタイムスパンは研究者の間で広く認められてきた期間よりもずっと短いという。

 やはり論文の共著者であるマサチューセッツ工科大学(MIT)のサム・バウリング(Sam Bowring)氏は、岩石と化石のデータから、生物にとっての悪夢のシナリオが陸上と海中で同時に進行したことが分かると話す。

 現時点で言えるのは、大量絶滅の原因を「どのようなメカニズムに求めるにせよ、それは海中だけ、あるいは陸上だけの話ではありえないということだ」とバウリング氏は言う。

◆陸上にも海中にも迫る危機

 大絶滅の時代の生物がどこに生息していたにせよ、けっして明るい暮らしではなかっただろうと研究者たちは推測する。

 沈氏は、この年代に堆積した岩盤から、炭が豊富でススをかぶった層が大量に見つかっていることを指摘し、「地上に広がった自然火災がペルム紀末の森林の急激な減少に大きく関与した」と話す。

 岩石中の炭素同位体の分析から、海中でも大絶滅の時期に炭素循環が根本的に変化し、酸素レベルが低下して負荷がかかっていたことを示す具体的な証拠が見つかっている。

「大絶滅の時期の海生生物の化石から、通常の種から低酸素水に耐えられる種への移行が見て取れる」と沈氏は言う。

 また「絶滅を生き延びた種は、それ以前の種よりも小型化している。この現象はリリパット効果として知られている」。リリパットというのは「ガリバー旅行記」に出てくる小人の国のことだ。沈氏によると、小型化の一因は低酸素にあると考えられるという。

◆原因は小惑星?

 しかしそもそも、なぜこのような大量絶滅が起こったのだろうか。

 論文の著者たちは、ペルム紀末に活発化した火山活動で二酸化炭素やメタンが大量に放出されたことを原因とする説に傾いている。たとえばシベリア・トラップというロシア北中部の巨大火成岩岩石区や中国南部での火山活動だ。

 だが、火山活動と大量絶滅が年代的に完全に重なるかどうかは断言できず、ほかの説が正しい可能性もあるとバウリング氏も認めている。

 陸上と海中で同時に破滅的変化が生じたことは、たとえば小惑星や彗星の衝突で説明できるかもしれない。「衝突の証拠は存在しないが、まだ見つかっていないだけだと考える人がいてもおかしくない」とバウリング氏は話す。

◆絶滅への引き返せない一線

 この大絶滅と現在の生物種の絶滅率を比較することは今のところ難しいと、論文の著者たちは言う。現在の種の絶滅率については研究者の間でも意見が一致していないが、一部には史上最高のレベルにあるとする考えもある。

 それでも、過去から学べることはあるだろう。「われわれの研究から分かるのは、環境の劣化は長期的に進行することがあるけれども、生態系がひとたび耐えられる閾値を越えてしまうと、急速に破滅に至るということだ」と沈氏は述べている。

 大量絶滅についての研究は、「ScienceXpress」サイトに11月17日付けで掲載された。

Photograph by John Cancalosi, National Geographic

文=Brian Handwerk

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