牙を持つ古代のリスの化石が見つかる

2011.11.02
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牙のような歯を持つ古代のリスの想像図。

Illustration courtesy Jorge Gonzalez and Guillermo Rougier
 アルゼンチンで発見された頭蓋骨と歯の化石は、牙のあるトガリネズミのような哺乳類のものであったという論文がこのほど発表された。 今回発見された種は、細長い口吻と長い牙から、学名を「Cronopio dentiacutus」と名づけられた。体長は20~23センチ程度、鋭い歯で昆虫を捕らえ、食べていたと考えられる。

 今回の化石は、南アメリカで発見された哺乳類の頭蓋骨としては2番目に古く、地上にまだ恐竜が住んでいた頃に生息していたとみられる。この化石は初期哺乳類の歴史の一端をうかがわせるもので、興味深いと専門家は言う。

 古生物学の研究チームが今回の頭蓋骨の化石をほぼ完全な状態で見つけたのは2002年、アルゼンチン北部の田舎町のはずれでのことだった。しかし当時はこの頭蓋骨の大部分は岩石に埋もれていて、種の特定はできないままだった。

 研究チームは2005年になって、化石から岩石を取り除く専門の技術者に、この化石を委託した。この技術者は3年がかりで、牙のあるリスのようなこの生き物の姿を明らかにした。

「(映画の)『アイス・エイジ』が出たとき、登場するリスのキャラクターの外見はふざけていると思った。でもその後、それに似たものを見つけてしまった」と、今回の研究のリーダーでケンタッキー州ルイビル大学の古生物学者、ギレルモ・ルージエ(Guillermo Rougier)氏は話す。

「この動物は非常に独特で、長い口吻と犬歯を持つ。私たちの知識がごくわずかだということを思い知らせてくれる。こうしたサプライズは、起こるべくして起きたものだ」。

◆古代の哺乳類の化石はきわめて稀

 哺乳類と恐竜は、ともに三畳紀の終わりに近い、約2億2000万年前に現れた。恐竜は約6500万年前に絶滅したが、哺乳類はその後も繁栄した。しかし古代の哺乳類の化石はきわめて稀だ。おそらく、大きさが小さいためだろう。

「地面に四つん這いになったり、腹這いになったりして、そのまま這って進むというのが、小さな哺乳類の化石を見つける方法だ。あまり華やかじゃないね。基本的には1日中、土の上を転がり回っている」とルージエ氏は言う。

 そのため古生物学の世界では、2億2000万年前から6500万年前に関しては、だいたい100万年おきに1つの属の哺乳類しか明らかになっていない。まったく不完全な記録と言わざるをえない。

「それだけの情報を元に、生命の歴史を再構築しようとする努力を想像してほしい。ほかに何百も(属が)いただろうことは確かだ。だが今のところは、ジェイムズ・ジョイスの偉大さを、その使用した10の単語だけで再構築しようとするようなものだ」とルージエ氏は言う。

 牙のような歯を持つ古代のリスに関する今回の研究は、11月3日付の「Nature」誌に掲載された。

Illustration courtesy Jorge Gonzalez and Guillermo Rougier

文=Dave Mosher

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