パンダが竹を食べる謎を解明

2011.10.18
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竹を食べるジャイアントパンダ。オーストリア、ウィーンのシェーンブルン動物園。

Photograph by Joe Petersburger, National Geographic
 ジャイアントパンダに関する長年の謎が、糞の分析からついに解明された。肉食動物の腸を持つパンダが、どうして99%竹や笹だけを食べて生きていられるのかという謎だ。 草食動物は、繊維質の消化を助けるため比較的長い腸を持つ傾向があるが、ジャイアントパンダにはそのような特徴はない。

 しかも、2009年にジャイアントパンダのゲノムが解析された際に、竹や草などに含まれる植物繊維であるセルロースの分解に働く既知の酵素に対応する遺伝子がないことが明らかになった。

 この結果から、研究者たちは、パンダの腸の中にはセルロースを食べて消化を助ける細菌がいるに違いないと推測した。しかしこれまで、パンダの腸内でそのような細菌を探す努力は成果を上げてこなかった。

 そこで今回発表された研究では、野生のパンダ7頭と飼育されているパンダ8頭の糞に含まれる遺伝子を調査対象にしたと、研究を率いた北京にある中国科学院動物研究所の魏輔文(Wei Fuwen)氏は話す。サンプルは、従来のパンダの糞の研究で用いられたものに比べてはるかに多かったという。

 魏氏らは、パンダの消化管内に、草食動物の腸内で見つかるものに似た細菌が実際に存在することを確認した。研究チームが確認した細菌のうち、13種は既に知られているセルロース分解細菌の仲間だったが、7種はパンダに特有の細菌だった。

 パンダは生物の系統樹の上で大半の草食動物とは異なる枝の上に位置するため、このような細菌の存在は、「食事の違い、腸内の独特の生息環境、あるいはこの宿主が系統発生学上持つ特殊な立場によるものと考えられる」と魏氏は推測する。

◆パンダを竹食にしたのは人間?

 腸内微生物の助けを借りているとはいえ、パンダは竹や笹からたいして栄養分を摂っているわけではない。パンダは1日に乾燥食料を9~14キロ食べるが、消化しているのはそのうちの17%にすぎない。このことは、パンダが緩慢な動きでエネルギーを無駄にしない生活スタイルに進化した理由も説明する。

 では、そもそもパンダはなぜ、どのようにして草食に転じたのだろう。

 一説によると、古代の人類の人口が増えるにつれ、パンダが高緯度地域に追いやられたためだという。新たに棲みついたその土地で、ツキノワグマなどほかの肉食動物と獲物を争わなくてすむよう竹食に適応したのだと、ワシントンD.C.にあるスミソニアン国立動物園のパンダ飼育係、ニコル・マコークル(Nicole MacCorkle)氏は説明する。

 パンダは、与えられれば肉も食べるけれども積極的に追い求めはしないとマコークル氏は付け加えた。

Photograph by Joe Petersburger, National Geographic

文=Rachel Kaufman

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