リー氏は3次虹を研究しており、他の研究者も刺激を受けたようだ。複数の専門家が、伝説的な現象を写真に収めようと試みた。その成果がドイツ、ブレーマーハーフェン近郊で6月11日に撮影されたこの写真だ。3次虹に加え、さらにかすかな4次虹も写っている。「ついに写真に記録してくれた。感動的だ」とリー氏は喜びを語っている。
「4次虹」と聞けば、重なった4つのアーチを思い浮かべるかもしれないが、実際には2つの虹が一度に見える。雨粒の中での光の反射や屈折が原因だ。
水滴の中で光線が反射すると、一部の光が逃げ出し、光を構成する色に分かれる。これが、いわゆる虹(1次虹または主虹)だ。2回反射すると2次虹(副虹)が生まれる。光線が反射するたび、虹は少しずつおぼろげになる。
3~4回反射した光線は、光源、つまり太陽の方向に出る。その結果、1次、2次と向かい合う場所で、非常にかすかな3次、4次が生まれる。太陽側の空に現れるため、観測が極めて困難だった。
「3次、4次の出現にはいくつかの気象条件が必要だ。しかし、写真家や一般の人には、あまり歓迎されない天気だろう」とリー氏は話す。「まず、背景として真っ黒な雲が必要だ。さらに、同じ大きさの雨粒が均一に分布しているか、激しい土砂降りとなると…」。
3次虹や4次虹は1世紀以上前から理論的には知られていた。なかなか観測されなかったのは、この不快な条件が一因かもしれない。
リー氏の研究の詳細は、「Applied Optics」誌で9月30日に発表された。
Photograph courtesy Michael Theusner, Applied Optics