地球に落下した意外な宇宙ゴミ

2011.09.09
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軌道を周回するNASAの上層大気観測衛星(UARS)のイメージ図。

Illustration courtesy NASA
 役目を終えたNASAの人工衛星の破片が、数週間以内に地上に降り注ぐと予想されている。 20年前にスペースシャトル「ディスカバリー」で打ち上げられた「上層大気観測衛星(UARS)」は、地球の大気を研究していた。2005年にUARSは運用を終え、危険な宇宙ゴミの仲間入りをしている。NASAは徐々に地球へ向かう軌道に変更、9月下旬から10月上旬には大気圏に突入して燃え尽きる運命となった。

 9月9日の記者会見で、NASAは死者が出る危険はほとんどないと説明した。宇宙時代の幕開けから約50年、落下した人工物によって命を落とした人はおらず、けが人さえまだ出ていない。

 2001年には、ロシアの宇宙ステーション「ミール」が慎重な制御を受けながら、南太平洋に向けて大気圏に再突入した。しかし、軌道上に投棄された古いロケットの一部や任務を終えた宇宙探査機など、自然に落ちてくるケースもある。NASAのニック・ジョンソン氏によれば、2010年には、1日平均1つの人工物が制御されずに大気圏に突入していたという。

 宇宙研究センター「エアロスペース・コーポレーション」によれば、これまでに6000トン近くの人工物が大気圏で燃え尽きずに地球へ到達している。地球への意外な帰還を果たした人工物をいくつか紹介しよう。

◆ロケットのタンク

 2011年3月、アメリカ、コロラド州北西部をハイキングしていた人が球形の物体を発見した。触るとまだ温かく、周囲の地面はクレーターになっていた。NASAの宇宙ゴミを追跡する部署に問い合わせた結果、1月に打ち上げられたロシアのゼニット3ロケットのタンクと判明した。アメリカで宇宙ゴミが回収された数少ない例の一つだ。

◆肩をかすめた宇宙ゴミ

 1997年1月、アメリカ、オクラホマ州で夜遅く散歩していた女性が空に一筋の光を見た。その直後、何かが彼女の肩をかすめた。正体は1996年に打ち上げられたアメリカのロケット、デルタIIの一部で、エアロスペース・コーポレーションによれば、宇宙ゴミが人に当たった唯一の例だという。女性は幸運にも無傷で済んだ。NASAの報告によれば、ほぼ同時刻に、重さ260キロのデルタIIの燃料タンクがテキサス州へ落下、危うく人が住む農場の家を直撃するところだったという。

◆放射性物質

 1978年1月、ソビエト連邦の偵察衛星コスモス954号がカナダ北部に墜落。カナダ政府によれば、搭載していた原子炉の放射性物質が数千平方キロの範囲にまき散らされたという。放射性物質を取り除く「朝の光作戦(Operation Morning Light)」が至急実施されたが、いまだ危険な残骸のわずか0.1%しか見つかっていない。

◆宇宙ステーションのシャワー

 ソ連の宇宙ステーション、サリュート7号が下向きの軌道をたどり始めたとき、技術者チームは大西洋に誘導しようとした。しかし、この試みは失敗、重さ約40トンもあるサリュート7号が多数の金属片となってアルゼンチンの街に降り注いだ。上空で輝く筋がいくつも目撃されている。大気圏に再突入した人工物では最大級だったが、けが人は出なかったという。

◆漂着したロケット

 2000年、テキサス州コーパスクリスティ近郊の海辺で、ホームレスたちが漂着した不思議な物体を見つけた。打ち上げ直後のアリアン5ロケットのとがった先端部を風呂桶に使おうとしていた発見者に、「止めた方が良い」とNASAのジョンソン氏は説得したそうだ。

Illustration courtesy NASA

文=Traci Watson

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