初の本格調査、南太平洋の“陸生”魚

2011.08.31
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魚は皆、水から出されれば生きていけないものと思ったら大間違いだ。少なくとも、写真のパシフィック・リーピング・ブレニー(Pacific leaping blenny、学名:Alticus arnoldorum)は違う。ミクロネシアの岩に覆われた海岸を跳ね回るこの“陸生”の魚について、初めて専門家による詳細な調査が行われた。

Photograph courtesy Courtney Morgans, UNSW
 魚は皆、水から出されれば生きていけないものと思ったら大間違いだ。少なくとも、写真のパシフィック・リーピング・ブレニー(Pacific leaping blenny、学名:Alticus arnoldorum)は違う。ミクロネシアの岩に覆われた海岸を跳ね回るこの“陸生”の魚について、初めて専門家による詳細な調査が行われた。 パシフィック・リーピング・ブレニーは、沖縄や小笠原でも見られるイソギンポ科のタマカエルウオ(英名:Leaping blenny、学名:Alticus saliens)の仲間だ。

 今回の調査で、この“歩く”魚が地上で本当にすばしこく、複雑な社会行動、とりわけ求愛行動を行っていることが明らかになったと、調査のリーダーを務めたテリー・オード氏は電子メールでコメントした。オード氏はオーストラリアのニューサウスウェールズ大学で進化生態学を専門にしている。

 ただしオード氏らのチームの観察によると、パシフィック・リーピング・ブレニーが捕食や求愛や交尾という重要な行動を行うのは、干潮と満潮の間のわずか数時間に限られていた。この時間帯ならば、皮膚が濡れたままでいられる程度の潮位はあり、かつ波が強すぎないので海に引き戻されることもない。

 パシフィック・リーピング・ブレニーはエラ呼吸が主で、皮膚からもわずかに呼吸しているが、完全に乾いた環境では呼吸ができない。つまり、「この魚は陸での行動にきわめて長けているが、それでも進化の歴史に強く束縛されている」とオード氏は書いている。

「つまり結局のところ、パシフィック・リーピング・ブレニーはまだ魚類であり、魚類は陸よりも水中での生活に適している」。

 パシフィック・リーピング・ブレニーに関する今回の研究は、「Ethology」誌オンライン版に8月26日に掲載された。

Photograph courtesy Courtney Morgans, UNSW
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