20年以上前にハワイで撮影された新種のミズナギドリ、ブライアンズ・シアウォーター。これを最後に生きた個体は確認されていないという。

Photograph courtesy Reginald David, Smithsonian Institution
 アメリカ、ハワイで新種のミズナギドリが確認された。アメリカでの新種鳥類発見はおよそ30年ぶりだが、既に絶滅してしまった可能性もあるという。 ハワイ諸島北西のミッドウェー島で1963年に収集された1羽の小さな海鳥の標本が、ワシントンD.C.の研究者により新種と認定され、ブライアンズ・シアウォーター(英名:Bryan's shearwater、学名:Puffinus bryani)と名付けられた。

 当時から新種の可能性が高いと目されていたが、その事実がDNA分析により確認された。

 ブライアンズ・シアウォーターの名は、ハワイ州都ホノルルにあるビショップ博物館の元キュレーター、故エドウィン・ホレス・ブライアン・ジュニア氏に因る。アメリカで新種の鳥類が確認、命名されたのは、1974年にハワイのマウイ島でカオグロハワイミツスイが発見されて以来だ。

 研究の共同責任者に名を連ね、ワシントンD.C.のスミソニアン保全生物学研究所(SCBI)の保全・進化遺伝学センター(Center for Conservation and Evolutionary Genetics)で責任者を務めるロブ・フライシャー氏は次のように語る。「約20種から成るミズナギドリ属の中で最も体が小さい。尾も近縁種より長く、黒味が強い。近縁種との違いは目立たないが、専門家が見れば特徴にすぐ気づく」。

◆新種が既に絶滅している?

 しかし、この海鳥の情報は皆無に等しい。現存する1羽の標本のほかには、1990年に一時的に捕獲された個体の写真があるだけだという。

「ミッドウェー島周辺では海鳥調査が大々的に行われてきたため、大規模なブライアンズ・シアウォーターの個体群があれば発見されているはずだ。かなり減っているか、あるいは既に絶滅している可能性すらある」とフライシャー氏は述べる。

「だが、海鳥には人目に付かない生活が一般的で、寿命も比較的長い。海洋上空に出ている可能性もあるだろう」。

 また、同氏のチームの見解では、繁殖は日本で行い、ハワイ諸島には一時的に留まっているに過ぎないとも考えられるという。研究者が鳥類の情報を収集する際には、繁殖地を調査することが多い。

「新種の記載は喜ばしい。だが希少な個体を保護する必要性が当然生まれてくる。今回のように、保全管理を進めようにも手元に標本しかなく、生きた個体の発見が困難な場合は対処が難しい」。

 研究の詳細は、鳥類学を専門に扱う「Condor」誌で2011年8月に掲載された。

Photograph courtesy Reginald David, Smithsonian Institution

文=Christine Dell'Amore