探査機ジュノー、木星誕生の謎に挑む

2011.08.04
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木星を周回する木星探査機ジュノー(CG画像)。

Illustration courtesy NASA/Caltech
 NASAの木星探査機ジュノーが、いよいよ8月5日(日本時間6日)に打ち上げられる。約5年後の2016年、地球から6億キロ以上離れた木星に到着し、表面の雲に5000キロまで接近する極軌道に乗る予定だ。調査期間は1年で、大気の深層部や両極付近に出現する巨大なオーロラ発生源のデータを収集、木星誕生の謎に迫る。 太陽系最大の惑星、木星は、惑星の形成過程を解明する上で重要な手掛かりになると期待されている。

 現在の理論では、約46億年前に太陽が誕生した後、その周囲を取り巻いていたちり状の物質が集まって惑星が形成されたと考えられている。

 太陽などと同様、木星の主な構成元素は水素とヘリウムで、炭素や窒素などの重元素も豊富に存在する。地球や火星など岩石惑星に多く、生命を構成する元素でもある。

 太陽を取り囲む原始惑星系円盤の最初期に合成される多元素分子は氷状態の水である。この氷が凝集する過程で、周囲の重元素を取り込みながら小天体「微惑星」に成長する。木星の場合、氷の塊が円盤中を移動する間にさまざまなガス状物質を取り込み、それが木星にまで成長したという学説がある。

 ジュノー搭載の受動型マイクロ波放射計で木星大気の深層部に存在する水の量を測定し、この学説の妥当性を検証する。大気の深層部には極めて大きな重力が働いており、惑星形成の基になった原始物質が現在も残存している可能性が高いという。

 ミッションの調査責任者を務めるアメリカ、サウスウェスト研究所のスコット・ボルトン氏は語る。「太陽が誕生した直後の状況を調べ、惑星が現在の姿となった経緯を知るための極めて重要なミッションだ」。

 ジュノーは、木星大気の深層部について循環、組成、温度などさまざまな観点から詳細に調査する。

 表面を覆う雲の外側についても観測を行う予定だ。木星を囲む強力な磁場の発生源や、磁場と大気との相互作用に関する研究が進められるという。

 太陽系で最も巨大かつ強力な磁場の維持機構(磁気ダイナモ)を持つ木星では、地球のオーロラとは比較にならないほど大規模な“ハイパー・オーロラ”が発生する。ジュノーは、オーロラの発生要因の荷電粒子を捕捉し紫外線で観測する。

 さらには、「JunoCam」という可視光カメラで木星の両極付近を撮影、カラー画像を地球に送信する予定である。専門家以外からも大きな注目が集まるだろう。

 木星の周囲には、磁場に捕捉される大量の荷電粒子によって太陽系で最も強力な放射線帯が形成されており、ジュノーも影響を受けざるを得ない。

 特に従来の惑星探査機とは異なり、ジュノーはすべての動力を太陽光発電でまかなっている。放射線による太陽電池の劣化がある程度進んだ時点で、ミッションは終了を迎える。

 NASAによると、その後のジュノーは木星の周回軌道を離脱、大気圏に突入して燃え尽きる予定だ。役目を終えた探査機を周回軌道上に放置すると木星の衛星に衝突する恐れがあるためだという。特に、生命存在の可能性が指摘されている衛星エウロパなどに悪影響を与える事態は避けなければならない。

 ジュノーのミッションは豊富な科学データをもたらすだろう。太陽系、銀河系に無数に存在する巨大ガス惑星について、新たな知見が期待されている。

Illustration courtesy NASA/Caltech

文=Brian Handwerk

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