サウスサンドウィッチ諸島の近海で発見された海底火山群の3Dソナー画像。

Image courtesy British Antarctic Survey
 南極の沖合で、巨大な海底火山がいくつも発見された。英国南極観測局(BAS)によると、現場はアルゼンチン南端から東へ1000キロ以上離れたイギリス領サウスジョージア・サウスサンドウィッチ諸島の近海。未測量だった9万平方キロの海域を、「マルチビームソナー」で調査する過程で発見された。火山は十数個あり、一部は高さ3000メートルに達するという。 約1カ月間の調査に参加した地質学と火山学の専門家フィル・リート氏は、「こんなにたくさんあったとは」と驚きを語った。

 もっとも調査チームは当初から火山の存在を予期していた。活火山帯に位置するサウスサンドウィッチ諸島では、1962年に付近を通過したイギリス海軍船によって海面を浮遊する軽石が大量に発見されている。海底噴火の証拠と考えて間違いなかった。

 調査チームにとって予想外だったのは規模である。高さが日本の富士山に匹敵する火山も含まれていた。海域の測量作業に従事したチームは不安を覚えたという。「海底面の隆起が確認できたとしても、高さが不明なら作業は慎重にならざるを得ない。しかし、未知の巨大火山を相手にした非常に刺激的な調査でもあった」とリート氏は振り返る。

 アメリカ、ワシントン州のセントヘレンズ山など、陸上の火山が崩壊すると巨大な地滑りが発生する。同様の現象は海底火山でも起こりうるが、その場合は津波の発生を伴う。そのため今回の発見は学術的な重要性が高いという。

 リート氏によれば、「サウスサンドウィッチ島に定住者はいないため、これらの火山は脅威とはならない」。むしろ、海底火山と津波との関係を研究するための新たな材料として注目されることになるだろう。

 また火山の熱水噴出孔の周辺には特異な生態系が形成される。海底火山の斜面に広がる岩場も豊かな海洋生物を育む。特に、熱水噴出孔は木星の衛星エウロパなど地球以外の天体でも確認されているため、周囲の生物を研究すれば地球外生命体の手掛かりになるかもしれない。

「海底火山には多種多様な生物が生息しており、調査のたびに新種が発見される。サンゴ礁に近い存在だと思う」とリート氏は語っている。

Image courtesy British Antarctic Survey

文=Richard A. Lovett