ベネチアの小さな島で最近見つかった1500体を超えるペストの犠牲者。 新たな博物館建設のための掘削作業員たちがこれらの遺体に遭遇したラッザレット・ベッキオ島は、世界で最初の隔離施設と考えられている。

Photograph courtesy Venice Water Authority-Consorzio Venezia Nuova Archive/Ministry for Cultural Heritage and Activities-NAUSICAA Archive
 イタリアのベネチア潟にある小島で、1500人を超すペストの犠牲者を埋葬した古い集団墓地が発見された。 その墓地の場所は有名なベネチアのサンマルコ広場から数キロ離れたベネチア潟の南に位置する小さな島ラッザレットベッキオ。博物館を新たに建設するために地盤の掘削を行っていた作業員が、この墓地に埋葬されていた人骨を偶然発見した。この島は感染病の拡大を防ぐために作られた世界最初の隔離施設と考えられている。15~16世紀にかけヨーロッパではいたるところでペストが流行し、ベネチアでも多くの犠牲者を出した。この隔離施設が作られたのはその頃である。

 ペストが猛威を振るう中、ベネチアではこの隔離施設が功を奏して、感染がいち早く終息したと思われる。調査の結果、この集団墓地はいくつかの層を成していることがわかった。最も古い層にある墓穴は15世紀末のもので、細長い長方形に形が整えられており、そこに埋葬されている遺骨は整然と一列に並べられ丁寧に布で包まれている。

 しかし、それより新しい層にあるものはいずれもただの大きな穴にしかすぎず、モナット(イタリア語で「死体を運搬する人々」)たちが荷車からその中へ遺体を無造作に投げ入れたと見られる。この墓地には、性別や年齢を問わずさまざまな人々の遺体が埋葬されている。中にはアジア人やアフリカ人の特徴を持った遺骨もあり、当時ヨーロッパ有数の交易地として栄えたベネチア共和国の文化的な多様性を物語っている。

 パドバ大学の人類学者、ルイーザ・ガンバロ氏は「貴族も下層民も区別なく扱われている。感染した者は誰であれラッザレットベッキオ島に強制的に留置され、死亡すれば身分に関係なく集団埋葬されたのだろう」と話している。

Photograph courtesy Venice Water Authority-Consorzio Venezia Nuova Archive/Ministry for Cultural Heritage and Activities-NAUSICAA Archive

文=Maria Cristina Valsecchi