キューバワニ、野生交雑で絶滅の危機

2011.06.27
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ワシントンD.C.にあるスミソニアン国立動物園で飼育されているキューバワニ(資料写真)。

Photograph by Paul Sutherland, National Geographic
 新たな“キューバ危機”が勃発している。島国キューバの希少なワニが、アメリカワニとの異種交雑によって、絶滅の危機に瀕しているとする新しい研究が発表された。 体長約3メートルで、キューバの2つの沼に生息するキューバワニは、野生の個体数が約4000匹にまで減少している。この種の存続を脅かしているのが、アメリカワニとの異種交雑だという。キューバワニは現在、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧IA類(絶滅寸前)」に指定されている。

「これはすなわち、単純な個体数の減少であろうと、異種交雑による減少であろうと、ともかく個体数が1匹でも減るのは大問題であることを意味する」と、野生生物保護協会(WCS)で保護と科学研究を担当する上級副会長ジョン・G・ロビンソン氏は話す。

 一方、カリブ海諸島全域に生息するアメリカワニは、IUCNの評価では、キューバワニほど絶滅のおそれは高くない。ロビンソン氏によると、キューバワニの残り少ない淡水の生息域では、農業の影響によって淡水の塩分濃度が高まっており、そのため半塩水にも生息できるアメリカワニの流入が進んでいるという。ロビンソン氏は今回の研究には参加していない。

 ロビンソン氏によると、キューバワニは、クロコダイルの中でも陸生の傾向が最も強く、他のクロコダイルのように腹を地面につけて這い回るのではなく、しっかりと肢で体を持ち上げて歩行する「とても格好のいい生き物だ」という。

 今回の研究では、ハバナ大学のヨアメル・ミラン・ガルシア氏率いる研究チームが、捕獲された野生のキューバワニおよびアメリカワニ89匹と、人工飼育されている個体2匹からDNAサンプルを採取し比較した。

 すると驚いたことに、キューバに生息するアメリカワニは、中央アメリカの他地域に生息するアメリカワニよりも、遺伝的にはキューバワニのほうに近いことが明らかになった。

 この結果は、アメリカワニとキューバワニの交配が、これまで考えられていたよりもはるかに進んでいたことを示唆している。異なる種同士が交配して雑種が生まれると、遺伝子が混合し、その結果、一方の種が他方の種を絶滅させるおそれがある。

 交雑種が元の種より強かったり攻撃的だったりする例は、異種交雑においては時折みられる。しかし、実際にそのようなことが起きているかどうか、行動学的な観点から調査がなされたことはなかった。

 そうした状況に今回の研究は「警鐘を鳴らす」ことになるだろうとキューバの保護活動家たちは述べている。WCSのロビンソン氏によると、活動家たちは既に、約3000匹のキューバワニが生息するサパタ沼の環境保全に多大な努力を費やしているという。

 すぐに考えられる解決策は、沼への淡水の流入を復活させ、アメリカワニが棲みやすい環境でなくすることだとロビンソン氏は述べている。

 キューバワニとアメリカワニの異種交雑に関する研究は、「Journal of Experimental Zoology」誌の最新号に掲載されている。

Photograph by Paul Sutherland, National Geographic

文=Christine Dell'Amore

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