朝型/夜型が野球の成績に影響?

2011.06.15
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バッティング練習中にあくびをするニューヨーク・ヤンキースのジェイソン・ジアンビ選手(一番左、2007年撮影)。

Photograph by Linda Cataffo, NY Daily News Archive/Getty Images
 野球選手の打率が高くなる時間帯は、睡眠パターンによって異なる傾向にあることが、米大リーグ選手を対象にした予備的研究によって明らかになった。 研究によると、朝型を自認する選手は早い時間のゲームで打率が高く、晩い時間になると打率が下がることがわかった。反対に夜型の選手は、晩い時間のゲームで打率が高いという。

 研究を発表したのは、バージニア州シャーロッツビルにあるマーサ・ジェファーソン病院睡眠医学センターの医長を務めるW・クリストファー・ウィンター氏。わざわざ研究で証明する必要があることなのかと思われるかもしれないが、これまで誰も本格的に調査したことはなかったと話す。

 ウィンター氏によれば、人間は誰しも、概日リズムと呼ばれる自然の睡眠パターンを持っている。右利きの人と左利きの人がいるように、この概日リズムが人間を朝型と夜型に分けている。概日リズムは、年齢とともに早い時間帯へずれる傾向にある。お年寄りが午後4時半に夕食を摂ったりするのはそのためだという。

 今回の研究には参加していないハーバード・メディカルスクールの神経学者ジェフリー・エレンボーゲン氏は、電子メールで取材に対し次のように述べている。「概日リズムは、行動や身体パフォーマンスなど、人間のあらゆる生理的側面に影響を及ぼす。髪の色が人によって茶色だったり赤だったりするのは遺伝によるものだが、それと同様に、1日の特定の時間帯におけるピークパフォーマンスに個人差がみられることにも、遺伝子がある程度関与している」。

 野球選手を対象にした今回の研究で、ウィンター氏らの研究チームは、大リーグ7球団の選手16名(平均年齢29歳)に、睡眠に関する標準的な質問票に答えてもらった。質問票はその人の概日リズムを明らかにするもので、今回の研究向けに修正が施されていた。質問の結果、選手9名が夜型、7名が朝型と判明した。

 次に研究チームは、選手の2009年と2010年の成績を分析し、試合開始時間との照合を行った。選手はタイムゾーンをまたいで移動することもあるため、試合開始時間はその分を計算に入れて調整したという。例えば、ボルチモア・オリオールズの選手がロサンゼルスまで移動し、午後2時からの試合に出場した場合、その選手にとっての体感的な試合開始時間は午後5時となる。

 分析の結果、午後2時より前に始まった試合では、朝型の選手の打率(.267)が夜型の選手(.259)を上回っていた。同様に、午後2時以降に始まった試合では、夜型の選手の打率(.261)が朝型の選手(.252)を上回った。

「体が行うことにはすべて、自然な山と谷があり」、人間は最も覚醒しているときに、より良い運動パフォーマンスを発揮する可能性が高いとウィンター氏は述べている。

 だからといって、夜型の人が、遅くに寝て遅くに起きるという睡眠パターンを永久に抜け出せないわけではない。概日リズムを変える方法もある。体内の睡眠リズムは、明るい光に接する時間帯に影響されるため、例えば1日の早いうちに光を浴びるようにすると、睡眠サイクルを早い時間にずらすことが可能だ。

 また、米国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)によると、アルコールの摂取も時差ボケと同じように睡眠サイクルを乱すことが明らかになっているという。

 総じて、睡眠におけるわれわれの嗜好や習慣は、従来考えられていた以上に、生活や行動に深く影響を及ぼしていることが認識されつつあるとウィンター氏は述べている。

「われわれはこれまで、睡眠を電灯のスイッチのようなものだと考えてきた。スイッチがオンのときは脳が働いていて物事が進行する。眠りにつくとスイッチは切れて何も起こらなくなるのだと。それはとんでもない見当違いだった」。

「睡眠には、それ自体にダイナミックな働きがある。眠っている8時間の間に何が起きているのか、ようやくわかり始めてきた。これを基に、スポーツパフォーマンス向上の新たな扉が開かれると信じている」。

 この研究結果は、ミネソタ州ミネアポリスで開催された睡眠学会議(SLEEP 2011)で6月13日に発表された。

Photograph by Linda Cataffo, NY Daily News Archive/Getty Images

文=Christine Dell'Amore

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