原始星は宇宙のスプリンクラー?

2011.06.13
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原始星のイメージ。旋回するガスとちりが中心に降下し、南北両極から宇宙ジェット(画像では青色)が吹き出す。

Illustration courtesy NASA/Caltech
 地球から750光年離れた場所で、太陽に似た若い星が、宇宙ジェットに乗せて大量の水を星間空間に噴出しているのが確認された。噴き出す水滴の速度は銃弾よりはるかに高速だという。 この発見は、原始星が宇宙に水を撒き散らす存在である可能性を示している。恒星の赤ん坊と言える原始星は、周囲をとり巻く巨大な円盤からちりが流入して成長しつつ、北極と南極から宇宙ジェットとともに物質を放出する。

 オランダのライデン大学で博士研究員をしている天文学者ラース・クリステンセン氏は、「宇宙ジェットを巨大なホース、水滴を銃弾だと考えると、毎秒の噴出量はアマゾン川の流量の約1億倍にあたる」と話す。「その速度は時速20万キロに達し、マシンガンから飛び出す銃弾の約80倍になる」。

 北の空に見えるペルセウス座にある今回の原始星は、まだ10万歳ほどで、この星を生み出したガスとちりの巨大な雲にくるまれている。

 研究チームは、欧州宇宙機関(ESA)のハーシェル宇宙望遠鏡に搭載の赤外線装置を使ってその雲の中をのぞき込み、星の周囲で水の構成要素である水素と酸素の原子が動いていることをつきとめた。

 水素と酸素の原子の動きを追跡した結果、摂氏数千度あるこの星に水が形成されていると研究チームは結論づけた。しかし水滴は、噴出するジェットにいったん入ると、摂氏10万度の温度によって再び気体になる。

 クリステンセン氏によると、この高温のガスは星から約7500億キロ離れたあたりで、周囲のずっと低温の物質にぶつかり、減速して衝撃波面を形成する。ガスは急速に冷やされて凝縮し、再び水が形成されるという。

 今回の発見が刺激的なのはこれが星の“通過儀礼”のように思われることだと、研究チームは話している。われわれの太陽の初期段階がどのように進行したのか、またその中で水がどのように形成されてきたのかを解明する新たな手掛かりになるかもしれないという。

「太陽型恒星は、おそらくすべてが幼い頃にとてもエネルギッシュな時期を通過するということが分かり始めた」とクリステンセン氏は話す。「その時期には、高速で運動する物質が大量に吐き出され、その一部が水であることも」。

 この星は天体のスプリンクラーのように、星間物質、つまり星と星の隙間を漂う薄いガスに養分を与えているのかもしれない。水を構成する水素と酸素は星を生み出す円盤の重要な成分であり、このような原始星のスプリンクラーがさらなる星の形成を促進しているのではないかと論文では述べられている。

 ペルセウス座で観測された水の噴出現象は、「おそらくすべての原始星が通過する一時的な段階なのだろう」とクリステンセン氏は話す。「しかし、こうしたスプリンクラーが銀河中でたくさん動いているとすれば、さまざまなレベルで面白いことになる」。

 この研究結果は「Astronomy & Astrophysics」誌への掲載が決まっている。

Illustration courtesy NASA/Caltech

文=Andrew Fazekas

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