研究チームは、123匹のタイリクキレアミグモ(Zygiella x-notata)を1匹ずつ個別のプラスチック箱に入れて巣を作らせた。このうち、8本の脚がそろっている個体は60匹、残りの63匹は脚が1本以上欠けていた。
そして、脚のそろったクモが作る巣と、脚が欠けたクモの作る巣はあまり差がないことが判明した。さらに、箱の中へハエを入れたところ、脚が欠けたクモでも捕食に何ら支障がないことがわかった。
「この結果には驚いた。脚が少なければ捕食能力に影響があると思っていたが、そんな様子はまったくなかった」とパスケ氏は述べる。
パスケ氏らは観察結果に基づき、クモの持つ脚は実際に必要な本数よりも多く、例えば脚に噛みついた捕食者から逃げる時に有利になるとの考えを示した。
ただし、失っても支障のない脚の本数には限界があるようだ。野生のクモでは脚が3本以上欠けた個体はわずかしか見つからず、研究室で観察したところ5本脚のクモが作る巣は粗雑だった。
今回の研究結果は、「Naturwissenschaften」誌オンライン版で4月29日に公開された。
Photograph by Stefan Sollfors, Science Faction/Corbis