巨大洪水の歴史、USGSがランキング

2011.05.25
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ミシシッピ川の支流、ヤズー川からあふれ出た水に囲まれ、孤立した住宅。アメリカ、ミシシッピ州ビックスバーグ近郊で5月に撮影。

Photograph by Scott Olson, Getty Images
 4月中旬から続いた大雨で、大規模な洪水がアメリカのミシシッピ川流域に続発している。5月下旬には南部ルイジアナ州のニューオーリンズを通過、現在は河口に達している。1カ月間の大洪水で記録された最大流量は、1927年のミシシッピ大洪水を上回る恐れがある。 1927年の大洪水はアメリカ史上最も破壊的な河川の氾濫で、その流出規模は毎秒約6万5000立方メートルに達した。競泳用の50メートルプール約26杯分が1秒ごとにあふれ出たことになる。

 しかし、アメリカ地質調査所(USGS)に所属する水文学の専門家ジェームズ・オコナー氏によると、世界では淡水の“巨大洪水”が何回も起きており、ミシシッピ川の2度の洪水すら足下にも及ばないという。

 USGSは2004年、過去200万年に発生したとされる淡水の洪水すべてを対象にランキングを作成しており、オコナー氏もその一員だった。

◆氷河期の大洪水

 最大と考えられているのは、最終氷期中の2万5000年前から1万5000年前に、現在のオレゴン州とワシントン州を丸ごと洗い流した洪水だ。

 当時、谷に流れ込んだ氷河が“ダム”となって水の流れを遮断、クラークフォーク川がせき止められた。いわゆるミズーラ洪水の発端だ。

 ダムの奥には氷河湖ができ、水がたまっていく。しかし、「氷は水より密度が低いため、水位が一定の高さに達すると、氷のダムは文字通り浮かんでしまう」とオコナー氏は説明する。

 その瞬間、決壊したダムから毎秒1700万立方メートルを超える水が流れ出た。「おそらく、湖が満杯になるまでには数十年かかる。しかし、氷のダムが不安定な状態になると、決壊して湖が空になるまでに何日もかからないはずだ」と同氏は話す。

 この恐ろしい大洪水は進路にあるすべてを引きはがした。巨大な岩が何キロも移動して積み重なり、高さ数百メートルに達する山がいくつもできた。研究者たちは古代の洪水の証拠の一つとみなしている。

◆洪水と気候

「氷河期の大洪水のいくつかは、数十~数百年単位で地球の気候に多大な影響を及ぼした可能性がある」とオコナー氏は述べている。「最終氷期が終幕を迎え地球が暖かくなってきたとき、顕著な寒冷化が2度起きている。現在のミシガン州にある五大湖を取り囲むように存在していた氷の湖があふれ、寒冷化の引き金になったようだ」。

 おそらく、湖からあふれ出た淡水は大量に北方の海へと流れ込み、海洋循環を乱した。地球の気候パターンは、しばらく氷河期のような状態に逆戻りしたとみられる。

◆アラスカで起きた噴火による洪水

 火が巨大洪水を引き起こすこともある。現在のアラスカで発生したアニアクチャク洪水は、約1万年前の火山爆発が遠因となった。USGSは8位にランクしている。

 爆発によって大きな噴火口、いわゆるカルデラが形成され、そこに雨水がたまる。「いっぱいになった水がカルデラの縁を浸食し、一気にあふれ出た」とオコナー氏は説明する。アニアクチャク洪水の最大流量は毎秒約100万立方メートルだったと考えられている。

◆アマゾン川の氾濫

 地滑りや「アイスジャム」が原因となった巨大洪水もある。アイスジャムとは、川に張った氷が流れ出し、曲がりくねった場所などに滞留する現象だ。

 アマゾン川では1953年に巨大洪水が発生、流量は毎秒約37万立方メートルに達した。13位にランクインしており、降雨による洪水でこの規模を上回る記録は未だ無い。

Photograph by Scott Olson, Getty Images

文=Ker Than

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