世界最大のホホジロザメ、追跡調査へ

2011.05.06
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船上に引き上げられたホホジロザメ「アパッチ」。調査チームが海水を与え続けないと死んでしまう。

Photograph courtesy National Geographic Channel
 メキシコ北西部のグアダルーペ島沖で巨大なホホジロザメが捕獲された。調査チームは世界最大だと主張している。2009年秋に捕獲され、その体長5.5メートル。調査の後、再び海に放たれた。 過去最大の体長は、同チームが捕獲したメスのホホジロザメ「キメル(Kimel)」の5.1メートルだった。ただし、いずれも非公式記録で、正式な機関は認めていない。

 キメルを40センチ上回るこのオスは、調査船の船長ブレット・マクブライド氏の愛犬にちなんで「アパッチ(Apache)」と名付けられた。調査は、ナショナルジオグラフィック チャンネルのドキュメンタリーシリーズ「Shark Men(シャークマン 巨大ザメ捕獲大作戦)」でも取り上げられている。

 追跡装置を装着したアパッチは海に放たれ、科学者と熟練の釣り人がタッグを組んで繁殖・出産場所などの謎に迫った。チームを率いたのは、アメリカ、カリフォルニア州を拠点とするNPO「海洋保全科学研究所」の所長兼理事長を務めるマイケル・ドメイヤー氏だ。

 体重2トンにも及ぶアパッチの捕獲にはバーブレスフック(カエシのない釣り針)を使用。「激しく暴れて一時フックが外れてしまった」と調査を指揮したクリス・フィッシャー氏は振り返る。

 船上に引き上げると、研究者がサメの体にGPS追跡装置を装着、血液を採取してから、海に戻した。アパッチは力強く泳ぎ去っていったという。

「全身が傷跡だらけで、桁外れの荒くれ者に違いなかった」とフィッシャー氏は語る。

 フィッシャー氏によると、海洋に生息する大型魚は、メスがオスより大きい場合が通常だという。妊娠・出産のため胴回りが太いからだ。一方、ホホジロザメに関しては、アパッチ大のオスも存在が以前から知られていたと一部の専門家は指摘する。

 カリフォルニア州モントレー湾水族館でホホジロザメ調査を率いるジョン・オサリバン氏は、「確かにビッグだが、野生の最大個体ではないと断言できる」とメールで述べている。

 アラスカ州ホーマーの州漁業狩猟省に勤める水産生物学者の同氏は、サメの大きさは研究にそれほど重要ではないと説明する。調査を指揮するフィッシャー氏も同じ考えで、チームは現在、アパッチの向かう先を追跡している。

 例えば最近の調査では、太平洋に生息するホホジロザメが、グアダルーペ島を含む沿岸の特定の地点に集まり、エサが豊富な海洋中央部にある“カフェ”へ移動すると示唆されている。食事を終えると、元の集合場所に戻ることが多いという。

 とはいえまだ仮説段階に過ぎず、「もしグアダルーペを出発したアパッチが海の中央部に向かい、次いで別の集合場所に移動するルートをたどった場合、初の裏付けとなる」とフィッシャー氏は期待する。

 また、サメの移動先や集合場所が特定できれば、保護活動に役立つ可能性もある。ホホジロザメは、国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧II類(危急)に指定されている。

「アパッチは今、その巨体同様に大きなミッションを担って海を進んでいる」。

Photograph courtesy National Geographic Channel

文=Christine Dell'Amore

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