大麻栽培が脅かすゴリラ生息地

2011.04.28
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ヴィルンガ国立公園のキバチ(Kibati)地区で、違法な炭焼き窯を探すレンジャーたち(2008年4月撮影)。

Photograph by Brent Stirton, Getty Images
 希少な野生動物マウンテンゴリラの生息地、ヴィルンガ国立公園。内戦によって壊滅状態に追いやられたこの地にいま、新たな火種が持ち込まれている。 2011年4月初め、中部アフリカのコンゴ民主共和国東部にある同公園で、1人の自然保護レンジャーが反政府勢力によって射殺された。この3カ月で殺害された8人目のレンジャーとなった。

 木炭の違法取引によってゴリラの生息区域が破壊されたヴィルンガで現在、新たな違法ビジネスが横行しつつある。大麻栽培だ。公園南地区の管理を担当するイノセント・ブラヌンワ氏は、「木炭取引と同じ組織が関与しているのは間違いない」と主張する。

 2009年には木炭と大麻の取り締まりが実施され、大いに効果を上げた。だが、公園内に居住するルワンダ解放民主軍(FDLR)が再び取引に手を染め始めたのだという。

 コンゴ民主共和国東部の都市ゴマにオフィスを持つフランクフルト動物学協会の代表ロバート・ミューア氏は電子メールでの取材に対し、「最近のFDLRの襲撃は激しくなる一方だ。どうやら戦術を変えているようで、レンジャーたちは完全に劣勢だ」と説明している。

 大麻問題が勃発するまでは平穏だった、公園内のニアムラギラ火山地区。ちなみにゴリラの生息区域からは離れている。レンジャーたちは、大半が無政府状態のコンゴ東部で、数十年もの間、武装勢力や密猟者、略奪者と戦ってきた。アフリカ最古の国立公園ヴィルンガは、いまや戦場の様相を呈している。

 FDLRは1994年のルワンダ虐殺に関与した組織で、現在はヴィルンガの森を拠点に、木炭を森から街へと運び違法に販売する業者を“保護”している。レンジャーたちによると、地元の住民はFDLRに金銭や食料、携帯電話、薬を提供する代わりに、森での木炭生産を許されているのだという。

 木炭用に樹木が根こそぎ伐採された跡地は、FDLRが大麻草を植える可能性が高い。収穫、乾燥後のマリファナを販売ルートに乗せる、あるいは戦闘服や銃、弾丸と交換する場合もあるという。「木炭取引で森が破壊された上に、今度はマリファナだ」と公園の広報担当者ルアンヌ・キャド(LuAnne Cadd)氏は嘆く。3月には、森で大麻草を栽培した容疑で2人が逮捕されている。

 公園内を巡回するレンジャー達の目的は木炭取引の根絶で、マリファナ販売業者の追跡ではない。しかし最近、ニアムラギラ地区のキブンバ(Kibumba)を巡回していたところ、炭焼き窯に加えて大量に栽培された大麻草を発見した。その際、巡回中の15人はFDLRと目される武装集団から銃火を浴び、マガヤナ・バジルシャカ(Magayane Bazirushaka)氏が殉職した。

「炭焼き窯は、奇襲しやすい場所にレンジャーをおびき寄せる罠だったのではないか」とフランクフルト動物学協会のミューア氏は指摘する。「取り締まりの戦略について見直す必要がある。情報収集と監視を強化し、活動を多様化するべきだ。ヴィルンガは、ここ数年間で最も緊迫した状況にある。公園を守るために法的措置を見直すのはいましかない」。

 幸いなことに、ヴィルンガのマウンテンゴリラの個体数は7年間で26パーセント増加し、480頭にまで回復している。

 同公園のエマヌエル・ド・メロド理事長によると、レンジャー達はマリファナの違法取引を阻止するための新たな措置について検討中だという。

Photograph by Brent Stirton, Getty Images

文=Stefan Lovgren

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