1986年4月26日に発生したチェルノブイリ原子力発電所4号炉の爆発事故から25年が経過した。居住禁止措置が続く半径30キロ圏内では、自然が復活しているようだ。現在のウクライナとベラルーシ、ロシアにまたがる広大な一帯が危険な放射線を浴び、何十万もの人々が町ごと移住した。しかし、人が居住せず農業も営まれていない2850平方キロのエリアでは、野生生物が数を増やしている。人間の姿がない景色の中で驚くほど多様な動物が繁栄しているかのように見える一方、気掛かりな遺伝子変化の兆候も確認されており、史上最悪の原子力災害の影響はなお続いている。

Photograph by Sergei Supinsky, AFP/Getty Images
 1986年4月26日に発生したチェルノブイリ原子力発電所4号炉の爆発事故から25年が経過した。居住禁止措置が続く半径30キロ圏内では、自然が復活しているようだ。 現在のウクライナとベラルーシ、ロシアにまたがる広大な一帯が危険な放射線を浴び、何十万もの人々が町ごと移住した。

 しかし、人が居住せず農業も営まれていない2850平方キロのエリアでは、野生生物が数を増やしている。人間の姿がない景色の中で驚くほど多様な動物が繁栄しているかのように見える一方、気掛かりな遺伝子変化の兆候も確認されており、史上最悪の原子力災害の影響はなお続いている。

 ウクライナ北部のチェルノブイリ事故と福島第一原発の危機。潜在的な影響は同等と予測されているが、直接の被害は原子炉に格納容器がなかったチェルノブイリの方がはるかに大きかった。世界保健機関(WHO)によると、放射線被曝によって約30人の作業員が死亡し、最終的には4000人もが命を落とすと推測されている。

 いまだ残る放射線が健康に与える長期的影響は未解明だが、一部の人は居住禁止区域に戻っている。この73歳の女性もほぼ廃墟と化したパリチフ村に帰ってきた。

 もはや放射性降下物が地面に降り注ぐことはない。しかし、人間にとって最も危険な放射線同位体の一つ「セシウム137」の濃度は、近隣だけでなく遠いノルウェーやドイツでもいまだ高いレベルだ。セシウム137は食物連鎖の上位に向かって濃縮されるため、彼女のニワトリは餌から高濃度の放射性物質を取り込んでいる恐れがある。しかし、見えない恐怖に怯えながらも、肉や卵が無いと彼女は暮らしていけないのも事実なのだ。

Photograph by Sergei Supinsky, AFP/Getty Images