連星系の惑星で育つ植物は黒くなる?

2011.04.20
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2つの「太陽」の下で生い茂る黒い植物(想像図)。

Illustration courtesy Royal Astronomical Society
 もし地球外生命が生存できる系外惑星が連星系や多重星系の周囲を回っているとしたら、そこで進化した植物は、人間の目には黒く見えるだろうという研究が発表された。そのような暗色の植物は、恒星の致命的なフレアから身を護るため、自ら移動したり、日焼け止め液を分泌したりする可能性さえあるという。 地球上の生命は、光合成を通じて太陽からエネルギーを得ている。光合成は太陽の光と炭素から糖を作り出すプロセスだ。地球上の光合成植物は、太陽の色と温度、地球からの距離により、赤外線と緑を除く大半の波長の光を吸収するように進化してきた。つまり、赤外線と緑の光を強く反射する。

 しかし、宇宙の恒星の多くは太陽とはタイプが違う。銀河系に含まれる恒星の約80%は暗い赤色矮星だ。宇宙生物学者の推測によると、1つの赤色矮星の周りを公転する惑星上の光合成植物は、赤、青、黄、紫といった色合いになり、場合によっては恒星の光を最大限に吸収するため灰色がかった黒になるかもしれないという。

 また、全恒星系の3分の1は連星系を中心とするものだ。連星の光が混じった環境で植物がどのように進化するかはまだよくわかっていない。

 今回の研究を主導したイギリス、セントアンドリューズ大学の宇宙生物学者ジャック・オマリー・ジェームズ(Jack O'Malley-James)氏はこう話す。2種類の恒星の光を受ける植物は、「例えば1つの太陽型の恒星の光を利用する植物や、1つの赤色矮星の光を利用する植物よりも多様な色に進化して、(2種類の星の光の)望ましい方を使うのではないかと私たちは考えている。2つの赤色矮星の周りを公転する惑星上では、植物は基本的に1色だけで、おそらく黒く見えるだろう」。

 オマリー・ジェームズ氏の研究チームは、さまざまな連星系、多重星系の周りを回る地球型惑星の環境シミュレーションを行った。作成したモデルはさまざまで、赤色矮星だけ、1つの赤色矮星と1つの太陽型恒星、2つの太陽型恒星などだ。

 大半のモデルでは、光合成を支えるだけの十分な光が仮想惑星上に届いた。その環境では一般に、地球が太陽から受けるのと同等のエネルギーが得られる。

 ただし、赤色矮星の近くで進化する植物は、生存のために特別な防御機能を発達させる必要があるかもしれないとオマリー・ジェームズ氏は言う。「光合成を支えるには惑星が(地球と太陽の距離の)5分の1くらいに近づかなければならない。赤色矮星は活動が比較的活発で、そのフレアが惑星表面に達することも多い。それが生命体にとって問題となる」。

 その結果、こうした惑星の陸上の植物は自らを護るために天然の日焼け止め機能を進化させるかもしれないとオマリー・ジェームズ氏は推測する。水生の植物であれば、放射のバーストを感じたら、脆弱な光合成分子を護るために一時的に水中に沈むということも考えられる。

 系外惑星上の植物の色や生態を推定することは、単に好奇心を満足させるだけではない。現在既に使われている望遠鏡は、地球外生命が生存する可能性のある大気から来る光を捉えられる性能を持っている。将来的には、捉えた光が何光年もの彼方で育つ植物から反射されたものかどうかを識別することが期待されている。

 いまシミュレーションを行っておけば、将来、実際のデータ収集を開始したときに、どのような光を探せばよいのかを知る手がかりになるに違いない。

 系外惑星の植物の色に関する研究は、ウェールズで開催中の英王立天文学会の会合で4月19日に発表された。

Illustration courtesy Royal Astronomical Society

文=Dave Mosher

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