イギリス南西部のサマセットで2010年に発見されたローマ時代の硬貨5万枚の一部。1隻の船から見つかった硬貨としては最も大量で、イギリスで見つかった古代の硬貨としても2番目の量だと、大英博物館の専門家は述べている。

Photograph by Ben Birchall, PA Wire/AP
 イギリス南西部のサマセットで2010年に発見されたローマ時代の硬貨およそ5万枚の一部。一つの容器に入って見つかった硬貨としては最も大量で、イギリスで一度に見つかった古代の硬貨としても2番目の量だと、大英博物館の専門家は述べている。 これらの硬貨は、先ごろ発見された鉄器時代の金の宝飾品とともにアマチュアのトレジャーハンターにより発見されたものだが、公的な助成金や民間からの寄付を受け、それぞれ別の博物館に収蔵されることが正式発表された。硬貨はサマセット博物館(Museum of Somerset)の所蔵となり、2011年夏、同館の新装オープンに合わせて公開展示される。

 今回見つかった財宝は既に大部分が洗浄、修復されており、その中にはカラウシウスが鋳造させたとみられる800枚近い硬貨も含まれている。カラウシウスは海賊掃討を任されたローマの艦隊司令官だったが、紀元286年に反乱を起こしブリタニア皇帝を僭称した。7年にわたりこの地を支配したが、自軍内の反乱で暗殺された。

 ブリタニアを治めた7年間にカラウシウスは、プロパガンダ的手法も用いて自らの権勢を世に広めた。その手段のひとつが、写真にあるような自らの肖像を刻んだ良質な銀貨の発行だった。

 発見された硬貨の中には、伝説上のローマの建国者、ロムルスとレムスがオオカミの乳を吸う姿が刻まれたものもある。カラウシウスが鋳造した硬貨で、こうした絵柄が見つかるのは初めてだ。この絵柄を用いることで、長い歴史を持つローマ帝国と自身を結びつけようとしたのかもしれない。

「カラウシウスはプロパガンダの名手だった」と、大英博物館の考古学者サム・ムーアヘッド氏は解説する。「皇帝の座に就くのとほぼ同時に、彼はこうした硬貨の鋳造を命じている」。

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