天の川銀河を駆け巡る「アクエリアス・ストリーム(Aquarius Stream)」の動きのシミュレーション(ピンク色で示す)。

Illustration courtesy Arman Khalatyan, AIP
 みずがめ座を貫く新たなスターストリーム(星の流れ)が発見された。小さな銀河の“かけら”であり、銀河系(天の川銀河)に飲み込まれたばかりとみられている。 スターストリームは、銀河の重力によって破壊され、飲み込まれた衛星銀河の残骸だ。銀河系の周囲にも10以上存在し、タコが複数の触手で1枚の皿を掴むように取り巻いているという。しかし、今回発見されたスターストリームは異彩を放っている。銀河面(円盤の断面)内部に埋め込まれているためだ。

 みずがめ座(アクエリアス)の方向に流れる「アクエリアス・ストリーム(Aquarius Stream)」は、1500~3万光年のあたりに広がっており、地球に最も近いスターストリームとみられている。最年少でもあり、形成時期は矮小銀河が重力によって引き裂かれた7億年前だという。宇宙の歴史から考えるとごく最近の出来事だ。

「流れを構成する星々は相当な年齢で、100億歳ほどになる」と、ドイツのポツダム天体物理学研究所に所属し、研究を率いた博士研究員メアリー・ウィリアムズ氏は語る。「飲み込まれたのはごく最近だが、起源は非常に古い。銀河系にとっては、カビの生えたスナック菓子を食べた気分だろう」。

 ウィリアムズ氏のチームは、「恒星視線速度調査(RAVE:RAdial Velocity Experiment)」の過程でこの検知しにくいスターストリームを発見した。RAVE計画では、オーストラリアのサイディング・スプリング天文台の広視野望遠鏡を利用して、銀河系の50万近くの星の動きを調査している。「収集したデータから色々と興味深いことがわかる。今回の発見もその一つだ」と同氏は話す。

 アクエリアス・ストリームは、銀河系の中心部で異質な動きをしている。故に、流れを構成する星の起源は外部にあるというのがチームの見解だ。

「データを分析する過程で、かなり変わった動きを見せる星のグループを発見した」とウィリアムズ氏は話す。惑星が恒星を中心に周回するように、多くの星は銀河中心部を周回している。しかし、このグループはバラの花びらを描くような複雑な軌道だったという。

「画像では、花びら1枚の先端部にあたる軌道を示している。軌道上を内外に方向転換しながら、銀河中心部へと向かっているようだ」。

 アクエリアス・ストリームと、銀河系が過去に飲み込んだ天体の残骸を分析すれば、起源だけでなく今後の動向も明らかになる可能性がある。「銀河系は他の天体との合体を繰り返して成長してきたと考えられている。やがて、同じ局部銀河群に属する最大の銀河、アンドロメダに飲み込まれてしまうだろう。50億年ほど先のことだが」とウィリアムズ氏は語った。

 アクエリアス・ストリームの詳細は、「Astrophysical Journal」誌の2月20日号に掲載されている。

Illustration courtesy Arman Khalatyan, AIP

文=Andrew Fazekas