翼竜の卵、軟らかい殻に覆われていた

2011.01.21
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翼竜ダルウィノプテルスのメスの化石。卵の化石も一緒に発見された。

Photograph courtesy Lu Junchang, Institute of Geology, Beijing
 大きな翼を持った古生物、翼竜の化石が新たに発見された。繁殖形態は鳥類よりも爬虫類のカメに近く、翼竜の性別を見分ける方法も見つかったという。 化石が発掘されたのは中国の遼寧省。かつては湖の底だった一帯で、およそ1億6000万年前の翼竜ダルウィノプテルス(Darwinopterus)とその卵と見られる化石が並んで発見された。

 専門家によるとこの個体は産卵期のメスのようだ。なんらかの原因で左の翼を負傷し、湖に墜落、溺死したらしい。湖底に沈んだ後に卵が体外へ排出されたと推測されている。

 研究に参加したイギリス、レスター大学の古生物学者デイビッド・アンウィン氏は次のように話す。「動物の死体は腐敗が進むとガスで内圧が高くなるため、臓器の内容物が排出されやすくなる」。また卵については、「あまり成熟していなかったのだろう。排出された後は何の変化もなく、そのまま化石になったようだ」と説明する。

 今回の個体は、他のダルウィノプテルス化石と比較して骨盤が大きいという。傍らの卵と考え合わせれば、メスと判断するのが妥当だ。

 卵の化学分析の結果、殻の軟らかさが目立った。湿度の高い地中に産卵し、卵の世話をしなかったと推測されている。殻の硬い卵を産み、孵化した子どもを育てる鳥類とは習性が異なっていたようだ。「受精卵を産み落とした後は一切関与しない。爬虫類の典型的な繁殖形態だ」とアンウィン氏は述べる。

 これまでに見つかった幼い翼竜の化石から判断して、孵化直後から独力で生活したと考えられている。「体こそ小さいが、行動は大人と変わりがなかった。非常に早熟で、おそらく孵化してすぐに飛行していたはずだ」。

 新たな化石にはもう1つ重要な発見があった。翼竜種の性別を見分ける方法の手掛かりが得られたのだ。

 過去に発見された化石の頭部は、トサカの有無で違いがあった。しかし、トサカがオスとメスどちらの特徴なのか確証が得られていなかった。今回の化石は明らかにメスで、その頭部にはトサカがない。つまり、オスだけがトサカを持っていたと研究チームは考えている。仲間とのコミュニケーションに使用していた可能性が高い。例えば、他のオスへの威嚇行為やメスに対する求愛行動として、自らのトサカの大きさを誇示していたのではないかとアンウィン氏は話す。

 トサカの役割に関するアンウィン氏の見解を、イギリスのポーツマス大学で翼竜を研究するマーク・ウィットン氏も全面的に支持している。さらにダルウィノプテルスに限らず、ほぼすべての翼竜にも当てはまるのではないかと主張する。

「もちろん、それ以外の役割も考えられる」とウィットン氏は付け加える。例えば、飛行中に体内の余分な熱を放散する機能などだ。「頭から非常に薄い骨が突き出ていれば、確かにラジエーターのように働くだろう。ただし、それは単に構造から生まれる副次的な効果で主な役割ではない」。

 今回の研究成果は、「Science」誌1月21日号に掲載されている。

Photograph courtesy Lu Junchang, Institute of Geology, Beijing

文=Ker Than

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