小惑星か彗星か、奇妙な天体の正体は?

2011.01.03
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彗星のような物質を放出する小惑星シャイラ(合成写真)。

Photograph courtesy Steve Larson, University of Arizona
 1世紀以上前から知られている大型の小惑星が、実は彗星だったと示唆する調査結果が発表された。 小惑星のほとんどが大気を持たない岩石の塊だ。数は何十万にも及び、主に火星と木星間の円軌道で公転しながら小惑星帯を形成している。

 一方、大部分の彗星は、海王星の軌道より外側にあるカイパーベルトから分離した“ちり”や氷でできている。楕円軌道を描き太陽付近にまで接近すると、核の中の氷が溶け、生じたガスやちりが吹き出して核周囲を取り巻く「コマ」となる。

 12月11日、アメリカのアリゾナ州で実施中の全天観測プロジェクト「カタリナ・スカイサーベイ」の天文学者スティーブン・ラーソン氏が、データベースには未登録の彗星らしき天体を観測した。ラーソン氏はその後、この天体が「シャイラ」と命名された小惑星と同じ安定円軌道を周回していると確認した。1906年に発見されたシャイラの直径は113キロ以上ある。

 同氏は、観測した天体がシャイラであり、メインベルト彗星(MBC)と呼ぶ、太陽系を構成する天体の中でも珍しいグループに属していると考えた。MBCは小惑星と類似した軌道を持つが、振る舞いは彗星そのものだ。「MBCはごく小さいのが普通で、大型の小惑星が彗星のように活動するのは今まで見たことがない」とラーソン氏はコメントしている。

 既に明らかになっているMBCはわずか5つ。しかし、不活発な状態で太陽系を周回している彗星は何百万にも及ぶとの指摘もある。カリフォルニア州にあるNASAエイムズ研究センターの彗星専門家デール・クルクシャンク氏はカタリナのプロジェクトに携わっていないが、「直径150キロ未満の小惑星はすべて、内部に氷を有している可能性がある」と話す。

 彗星が活動を停止する理由は不明だが、一説では、何度も太陽付近を通過すると「休止モード(stealth mode)」に入るためだという。「太陽へ頻繁に接近した彗星は、不揮発性で無反射の物質の層を構築して、核内に熱を通さないようにするとみられる。シャイラでも類似した状態が確認された」とラーソン氏は説明する。

 この考えに基づくと、彗星が内部の物質を放出して再び活発化するには、何か引き金となる外因が必要になる。最も単純な仮説は、別の物体が彗星の堅い表面に衝突し断熱機能が失われ、氷やガスが放出されるシナリオだ。

「興味深いアイディアだが、唯一の選択肢ではない」とエイムズ研究センターのクルクシャンク氏は語る。「要因はほかにもあるだろう」。例えば、近くを通過する物体の引力が内部の物質を外側へと引っ張り、核表面の層が弱くなってMBCになる可能性もあるという。

 エイムズ研究センターの研究者らは最近、MBC探索ミッションの提案書を提出した。「ミッションでは、いくつかのMBCをより詳細に観測していくつもりだ。突き詰めていけば、地球上の水がどこから来たのかという問題の解明にもつながる。非常に重要な調査となるだろう」とクルクシャンク氏は話している。

Photograph courtesy Steve Larson, University of Arizona

文=Ker Than

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