超高温の隕石からアミノ酸を発見

2010.12.21
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2008年にスーダンのヌビア砂漠に落下した小惑星の破片(写真手前)。

Image courtesy JPL/NASA
 ヒ素を食べて増殖する生命体の発見に続いて、今度は生命の基礎となるアミノ酸を、存在しないはずの場所からNASAが発見した。2008年にスーダン北部に落下した隕石はかつて非常に高温だったが、意外なことにその破片の内部からタンパク質の前駆物質であるアミノ酸が発見されたという。 アミノ酸はこれまでも、炭素を豊富に含むさまざまな隕石から発見されているが、いずれも比較的低温の環境で形成されたものだった。しかし今回初めて、自然の状態で摂氏約1100度にまで温度が上昇していた隕石からアミノ酸が発見された。研究を率いたメリーランド州にあるNASAゴダード宇宙飛行センターの宇宙生物学者ダニエル・グラビン氏は、このような極端な温度では内部の有機物質は完全に破壊されるはずだと話す。

 同氏は声明の中で、「これまでは、小惑星でアミノ酸ができるには、単純に比較的低温な環境と液体の水の存在が必要だと考えられていた。しかし、非常に高温の小惑星が冷える過程で生じる気体の反応でもアミノ酸が生成される可能性がでてきた」と述べている。さらにこの発見によって、「生命の源が小惑星によって地球に飛来したとする説を裏付ける証拠が1つ増えた」という。

 この隕石は、約1500万年前に他の天体と衝突したために地球に接近し2008年に地球の大気圏に突入した直径約4メートル、重さ約59トンの小惑星の破片である。地球の大気圏に突入する前に発見された史上初の天体となった。

 この小惑星が落下したスーダンのヌビア砂漠で後に行われた調査で、600個近い隕石の破片が発見された。「この隕石から地球外アミノ酸の証拠が発見されたことは重大な意味を持つ。地球上で生命が誕生する以前に宇宙でどのような化学変化が起きたかを知ることができる」とグラビン氏は期待する。また、「初期地球や火星などの太陽系の惑星でアミノ酸が形成された一因がこのような隕石だった可能性がある」。つまり、小惑星によってアミノ酸などの有機化合物がもたらされることは、太陽系ではこれまで考えられてきた以上に一般的な現象なのかもしれないという。

 この研究は「Meteoritics and Planetary Science」誌2010年12月15日号に掲載されている。

Image courtesy JPL/NASA

文=Andrew Fazekas

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