系外惑星系に異質な第4の惑星

2010.12.09
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ケックII望遠鏡で撮影した近赤外線画像。恒星HR 8799の周囲を4つの惑星が回っている。

Photograph courtesy NRC-HIA, C. Marois & Keck Observatory/Nature
“3人では仲間割れ”という言い回しがある。12月8日に発表された惑星は“4人目”だが、周囲の惑星の調和を乱していることに変わりはない。 天文学者チームが発表したのは、太陽に似た若い恒星HR 8799を周回する4つ目の惑星。チームは2008年、この惑星系の光を直接撮影し、既に3つの惑星を発見していた。今回の惑星も、残りの3つと同じく木星型だという。

 太陽系外の惑星はこれまでに500以上見つかっているが、そのほとんどは間接的な方法で観測されている。恒星が受ける引力の影響から惑星の存在を確認したり、一時的に弱まった恒星の光から惑星の前面通過を推測したりといった具合だ。

 4つ目の惑星は、他の3つと同じくHR 8799の惑星系を直接撮影して発見された。しかし、4惑星の質量と恒星からの距離を考えると、4つ目は惑星形成の理論と矛盾するという。

 カナダにあるヘルツバーグ天体物理学研究所の天文学者で、研究リーダーを務めるクリスチャン・マロイス氏は、「複数の惑星が所属する惑星系を直接撮影した前例はなかったため、なかなかの成果だと思っている」と話す。

 3惑星はそれぞれ、木星の約5、7、10倍の質量を持つ。恒星との距離は、35億キロ(太陽から海王星とほぼ同じ)~101億キロ(太陽から冥王星の約2倍)。

 一番遠くにある惑星(b)は、ちりから成る円盤のすぐ内側を周回している。太陽系にもよく似た円盤があり、こちらはカイパーベルトによって生み出されている。カイパーベルトは氷で覆われた小さな天体が密集する領域で、冥王星も含まれている。

 HR 8799の惑星系は誕生から6000万年以内と推定されている。そのため、惑星はまだ熱と光を失っていない。2008年に撮影された赤外線画像では、この熱の痕跡から惑星の位置が明らかになった。

 マロイス氏らのチームは、ハワイのマウナケア山頂にあるケックII望遠鏡で4つ目の惑星を発見した。ケックIIは特別な近赤外線撮像装置と、地球の大気による画像の乱れを除去する補償光学装置を搭載している。

 画像から、4つ目(e)も巨大ガス惑星で、木星の約7倍の質量を持つことがわかった。ただし、恒星との距離は22億キロしかない。これは土星と天王星の軌道間の距離に相当する。また、周回軌道のすぐ内側に小惑星帯がある可能性もケックIIのデータから明らかになった。

 全体として、HR 8799系は太陽系の拡大版に見えるという。「ただしその構成は、巨大ガス惑星の形成に関して広く受け入れられている2つのモデルのどちらにも当てはまらない」とマロイス氏は話す。

 惑星は通常、若い恒星を取り囲むガスや固体の円盤から形成されると考えられている。1つ目のモデルは「重力不安定」と呼ばれ、円盤の摂動によってその構成要素が合体し、ガス惑星になるというものだ。もう1つのモデル「コア降着」では、まず円盤の構成要素が集まって岩石の核となり、重力によって周りのガスを引き寄せる。

 マロイス氏らのチームによると、4つの巨大ガス惑星がこれほど広範囲に分布している場合、すべてが同じように形成されることはあり得ないという。恒星から離れていると、コア降着で必要なガスが不足する。逆に近い場合は温度が高すぎ、固体が重力不安定な状態にならない。

「われわれは惑星系の進化の初期段階を目の当たりにしている。現在のような構成になる前に何が起きたのか。そのヒントを与えてくれるのは間違いない」とマロイス氏は語る。

 HR 8799の惑星系に関する論文は「Nature」誌オンライン版に12月8日付けで掲載されている。

Photograph courtesy NRC-HIA, C. Marois & Keck Observatory/Nature

文=Andrew Fazekas

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