銀河系外で惑星を初めて発見

2010.11.19
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
老いた太陽型恒星を周回する太陽系外惑星HIP 13044b(中央右寄り、想像図)。

Illustration courtesy JSW Art via Science/AAAS
 地球が含まれる天の川銀河の外で生まれた惑星が初めて発見された。赤色巨星を周回しているという。太陽系外の惑星は1990年代半ば以降次々と発見されているが、これまでに見つかった500近い系外惑星はすべて天の川銀河で誕生したものだった。 HIP 13044bと名づけられたこの惑星は、天の川銀河の周囲をとりまく恒星のストリームの中で見つかった。このストリームは、かつて天の川銀河を周回していた矮小銀河の残骸と考えられている。この矮小銀河は命名されていないが、約60億年前、天の川銀河はこの矮小銀河と衝突し、そのほとんどを吸収した。その時の痕跡として残った星が、現在は時速約100万キロ以上という猛スピードで天の川銀河の周りを移動している。

 研究を率いたドイツ、マックス・プランク天文学研究所の天文学者ジョニー・セティアワン氏は、発見された惑星は「矮小銀河が天の川銀河に吸収される以前に形成された可能性が高い。誕生以来ずっとこの親星を周回している」と話す。

 ドイツにあるキーペンホイヤー太陽物理学研究所の天文学者で研究に参加していないオスカー・フォン・デル・リューエ氏は、この発見は天の川銀河以外でも惑星が形成されることを示す初めての証拠だと評価する。また、同氏は電子メールでの取材に対し、「天の川銀河と異なるタイプの銀河でも惑星が形成されることをも示すものだ。これらの銀河は、進化のパターンも星形成の歴史も大きく異なっている」と述べている。

 発見された銀河系外惑星は木星の少なくとも1.25倍の質量を持つ巨大ガス惑星で、地球から約2000光年離れた恒星を周回している。巨大ではあるが地球から遠いため、直接観測することはできない。しかしセティアワン氏の研究チームは、チリにあるヨーロッパ南天天文台(ESO)のラ・シヤ天文台で観測した恒星の光のわずかな揺らぎから、惑星の存在を推定した。この光の揺らぎは巨大ガス惑星の重力が親星の光を引っ張ることで起きる。

 研究チームはHIP 13044bの親星についても研究した。この親星は約80億年前に誕生し、かつては今の太陽のようだったが、現在は太陽型恒星の進化過程で終盤の赤色巨星の段階にある。赤色巨星は最大で元の大きさの数百倍に膨張し、近い軌道を周回する惑星は親星に飲み込まれ蒸発するのが普通だと考えられている。地球も約50億年後にはそのような運命をたどると予測されているが、HIP 13044bはどうにか破滅の危機を免れているようだ。

 しかし、惑星の形成に関する現在の学説ではHIP 13044bの誕生そのものが説明できないという。この惑星の親星には金属が極端に少なく、したがって水素やヘリウムより重い元素がほとんど存在しないからだ。

 恒星とその惑星は、最初は同じ構成要素から形成されると考えられている。誕生直後の恒星の周囲に物質が円盤状に集積し、そこから惑星が誕生するが、恒星に金属がほとんどなければ、この円盤にも金属が乏しいことになる。巨大ガス惑星が主に水素とヘリウムからできているとはいえ、軽いガスを引き寄せて成長するための最初の核となる重い元素がなければ惑星は形成されないと考えられている。

 ワシントンD.C.のカーネギー研究所に所属する惑星形成理論学者で研究に参加していないアラン・ボス氏は、HIP 13044bの形成過程は非常に例外的で、この惑星の発見は「ビッグニュースだ」と話す。「初めに岩石と氷でできた質量の大きなコアができ、次にその周囲にガスが引き寄せられて巨大ガス惑星が形成されるという、従来考えられていたメカニズムでこの惑星が形成されたとは考えにくい」。

 研究を率いたセティアワン氏も同意見だ。「今回の発見で、金属が少ない恒星から惑星が形成される未知のメカニズムがある可能性が示された」。

 この研究は、「Science」誌オンライン版で2010年11月18日に公開された。

Illustration courtesy JSW Art via Science/AAAS

文=Ker Than

  • このエントリーをはてなブックマークに追加