ほぼ垂直の壁面をよじ登るヤギ

2010.11.01
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ロッククライマー顔負けの登攀技術でほぼ垂直の壁面をよじ登るアイベックス(山ヤギの一種)。2010年夏にイタリア北部のダムで撮影された。

 撮影者はイタリア人のアドリアーノ・ミリオラッティ(Adriano Migliorati)さん。ハイキングの途中、アルプス山脈に近いイタリア北部にある高さ49メートルのチンジーノダムで撮影したという。イギリスの通信社Caters news agencyによると、アイベックスの目当てはダムの石組み表面に付着している塩のようだ。草食動物は、常食する草だけでは十分な塩分を摂取できない。

Photograph by Adriano Migliorati/Caters News
 ロッククライマー顔負けの登攀技術でほぼ垂直の壁面をよじ登るアイベックス(山ヤギの一種)。2010年夏にイタリア北部のダムで撮影された。 最近、このようなアイベックスの写真がネット上に出回っている。特にチェーンメールに添付されることが多く、アメリカ、ワイオミング州にあるバッファロービルダムのオオツノヒツジという間違った説明が書かれている。この問題は、2010年9月に都市伝説や迷信を検証するサイト「Snopes」で報告された。

 米ナショナルジオグラフィック ニュースが入手した真実はこうだ。撮影者はイタリア人のアドリアーノ・ミリオラッティ(Adriano Migliorati)さん。ハイキングの途中、アルプス山脈に近いイタリア北部にある高さ49メートルのチンジーノダムで撮影したという。イギリスの通信社Caters news agencyによると、アイベックスの目当てはダムの石組み表面に付着している塩のようだ。草食動物は、常食する草だけでは十分な塩分を摂取できない。

 撮影場所が誤解されても、それほど目くじらを立てるまでもなさそうだ。アメリカに拠点を置く非営利団体ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)で持続可能な水力発電のシニア・アドバイザーを務めるジェフ・オッパーマン氏は、アメリカ西部に生息するシロイワヤギなら同じようにダムの壁面をよじ登れると指摘する。

 同氏はその証拠として、米ナショナル ジオグラフィック本誌2010年11月号に掲載されたモンタナ州のシロイワヤギの写真を引き合いに出す。垂直に切り立った崖の壁面をロッククライミングさながらよじ登り、岩肌の塩を舐めている場面だ。

「岩壁のギャップの中で四肢を目一杯伸ばして踏ん張る姿は、ヨガのポーズのように見える。チンジーノのアイベックスも驚異的だが、生きるために必要ならどんな険しい地形でも越えていくんだ」とオッパーマン氏は語る。

 ただし、チンジーノダムのように粗い石組みがうまく足掛かりとなるケースは少ないという。コンクリートダムのほとんどは滑らかな壁で、アイベックスといえども写真のようには登れない。

Photograh by Adriano Migliorati/Caters News
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