アメリカで激化するLED電球開発競争

2010.10.21
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アメリカのLEDデバイス製造メーカー、クリー社が一般家庭用に販売を始めているLEDダウンライト。一方ゼネラル・エレクトリック社(GE)は、冷却機能を備え電力効率を一段と高めた画期的なLED電球の開発成功を発表した。その試作品では、100ワットのハロゲン電球と同じ明るさを実現したという。

Photograph courtesy Cree
 発明王トーマス・エジソンが白熱電球を実用化してから今年で131年。白熱電球の試作品完成日にあたる10月21日、アメリカの複合企業ゼネラル・エレクトリック社(GE)が照明の分野に革命をもたらすと誇る画期的な新製品を発表した。ジェットエンジン技術を応用した冷却機能を持つ高効率LED(発光ダイオード)電球である。 一方、競合他社も高効率LED電球の年内発売を目指しているが、最新技術をアピールしたGEとは対照的に、本を読むのに十分な明るさや従来の電球ソケットにも取り付け可能など、消費者にとってより身近なメリットを強調している。

 LEDは、半導体物質中の電子の移動によって発光する。熱の影響を受けやすく、80度程度という比較的低温で劣化し始めるという。GEのエンジニアでLED電球の冷却技術プロジェクトを指揮したメフメト・アリク氏はこう話す。「コンピューターに使用するチップと基本的には同じで、電力効率を上げるためにはできるだけ温度を下げる必要がある」。GEが手がける航空やエネルギー分野で利用されている気流制御技術を小型化し、低コスト化も実現したという。

 新技術により温度上昇を押さえながら100ワットのハロゲン電球と同じ明るさを実現し、消費電力は3分の1程度に抑えられることも実証されているという。GEは、今年から来年にかけて第1世代の家庭用LED電球を発売する予定だ。ただし新技術の採用は第2世代以降になりそうだ。

 火が“発明”されて以来、いつの時代でもエネルギー効率の高い照明器具を求めて、さまざまな開発努力が続けられてきた。だが、白熱電球のように熱狂的に歓迎されるような製品はまれにしか生まれない。131年前にエジソンが成し遂げた白熱電球の実用化は世界を大きく変えた。以来、白熱電球は新しい発想の象徴であり続けている。世紀を越えてもその思い入れは根強く、たとえ大量の熱でエネルギーを無駄に浪費しても、その形状はどうしても忘れることができないようだ。

 大手照明メーカー、オスラムシルバニア社の広報責任者ステファニー・アンダーソン氏は、「消費者は白熱電球と同じ形状の照明器具を求めている」と話す。

 省エネ型の家庭用電球として現在最も広く市場に流通しているのが電球型蛍光灯である。だが、消費者への浸透度はいまひとつだ。業界では、ヘビがとぐろを巻いたような形状にその一因があると見ている。

 昨年アメリカ政府が行った調査によると、電球型蛍光灯を使用している家庭は全体のわずか11%にとどまっている。電球型蛍光灯は、白熱電球に比べてエネルギー消費量が75%も少なく耐用年数も5年と長いため、消費者にとっては家計の負担が軽くなる。だが光の色に対する不満をはじめ、早期故障や調光対応型製品の価格が高いことなど改善点は多い。また、微量の水銀が含まれているため、特殊な方法で廃棄する必要がある。

 そして、電球型蛍光灯の問題点をほぼすべて解決する照明器具として注目され始めたのが、寿命が長く電力効率が極めて高いLED電球だ。当初の用途が電化製品の表示灯などに限られていたLEDも、現在では信号機から大型テレビ、懐中電灯に至るまでその守備範囲は多岐にわたっている。長年の研究開発によって明るさや色が格段に向上し、現在では室内灯の品質に十分達しているという。

 最大の課題は価格だ。アメリカの場合、白熱電球は1個たったの25セント(約20円)だが、LED電球は30ドル(約2400円)前後になる見通しだとアンダーソン氏は言う。

 ただし、LED電球の耐用年数は20年と長く、電気料金も従来より安くなる。購入費用が高くても結果的には割安だ。今後各メーカーは、この点を消費者に訴えていくことが必要となる。米国エネルギー省によると、アメリカの平均世帯で消費される白熱電球は年間およそ40個、照明にかかる電気料金は全体の20%、年間およそ200ドル(約1万6000円)になるという。

 だがアメリカでは、3年前に連邦議会で可決された省エネルギーに関する法律によって、白熱電球の生産および販売が2012年以降段階的に禁止される。低価格の白熱電球が家庭から姿を消す日も、そう遠くはないだろう。

Photograph courtesy Cree

文=Marianne Lavelle

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