月に新しいタイプの火山を発見

2010.09.21
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矢尻の形をしたハンステーンアルファの2枚の画像。左はNASAの無人周回衛星ルナーオービタ4号が1967年に撮影したもので、右は同じ写真にLROによる最新のデータを重ねたもの。赤と黄色はシリカを豊富に含んだ部分を示す。

Diagram courtesy NASA/Goddard/UCLA/Stony Brook
 NASAの月探査機ルナー・リコナイサンス・オービタ(LRO)のデータから、これまで見つかっていなかった種類の岩石が月面にあることが明らかになった。過去に月で確認されていないタイプの噴火活動によって噴出したものだという。 月はこれまで、色の濃い玄武岩と、色が薄くカルシウムを多く含む長石という2種類の岩石から主にできていると考えられていた。いずれも、火山が比較的粘性の低い玄武岩質溶岩を噴出したことで形成されたと思われる。

 しかし今回発見された火山は、シリカを豊富に含む溶岩を徐々に厚く堆積させ、ハンステーンアルファ(Hansteen Alpha)またはハンステーン山(Mons Hansteen)と呼ばれる幅30キロほどの矢尻の形をした明るい色の地域を形成したという。

 研究の共著者であるニューヨーク州立大学ストーニブルック校の地学助手ティモシー・グロッチ氏は、発見された火山は現在活動を休止しており、最後に溶岩を噴出したのは少なくとも20億年前だと推測する。

 この火山は、月面から反射する中遠赤外波長域の光を測定するLROの測定装置ディバイナーによって発見された。この波長では鉱物が反射する光の特徴が異なるため、月面の組成の分布を知ることができる。ただしこの方法では鉱物の量しか計測できず、岩石の種類を正確に識別するにはさらに調査が必要となる。

 地球では、ハンステーンアルファを形成したのと同タイプの火山から形成される鉱物は、石英、カリ長石、花崗岩などのシリカ系で、月で発見された岩石もそのどれかである可能性がある。

 新たに発見されたシリカ系岩石の塊は、奥深くにある玄武岩質のマグマがシリカを含有する地殻の深部を部分的に溶かすことで形成されたと研究チームは考えている。こうして作られた鉱物は、一部は溶岩として月面に噴出し、一部は地中で冷えて固まる。同様な岩石の痕跡はクレーターの内部や周囲にも見られるが、これらは、彗星や小惑星が月に衝突した衝撃でシリカを多く含んだ大量の岩石が地中から出てきたものと考えられる。

 また、今回発見された月の鉱物は、すでに地球にある可能性もある。

 グロッチ氏は次のように話す。「アポロ計画で地球に持ち帰ったサンプルを分析してみると、花崗岩の微小な粒子が散在しているのがわかるが、それがどうやって入り込んだのかは謎だった。現在は、この岩石だけでできている火山が存在すると考えられている。新しい岩石の標本を分析すれば、アポロのサンプルに基づいて描かれたイメージとはまったく異なる月の全体像が得られるだろう」。

Diagram courtesy NASA/Goddard/UCLA/Stony Brook

文=Rachel Kaufman

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