太陽系最古の物質発見

2010.08.24
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ちりの円盤が岩石天体に合体する前の若い恒星系の想像図。

Image courtesy NASA
 最新の研究で、隕石の内部から見つかった豆粒ほどの鉱物が、太陽系最古の物質であると判明した。45億6820万年前の鉱物で、太陽系の誕生時期が従来の説から200万年早まることになる。また、恒星の爆発が、形成中の太陽系に主要鉱物を注入した可能性も示唆されている。 この鉱物を抱えていたのは「NWA 2364」と名付けられた重さ1.5キロの隕石で、2004年にモロッコで発見された。出身は火星と木星の間にある小惑星帯と考えられていた。

 しかし分析の結果、内部に「カルシウム・アルミニウム包有物」と呼ばれる鉱物の塊が存在し、小惑星帯が存在する以前の時代にまで遡ると判明した。太陽の形成に関してはいくつかの説があるが、星間ガスとちりの雲の集まり「星間雲」のコアが重力崩壊して形成されたとの考えが一般的だ。今回発見された隕石内の含有物は、太陽がこのようにして生まれた直後に形成された可能性がある。

 研究チームのリーダーでアメリカにあるアリゾナ州立大学隕石研究センター(Center for Meteorite Studies)の研究員オードリー・ブービエ氏は、「原始太陽の成長が一段落した後から、温度低下で物質の凝縮が始まり、この含有物の形成も始まった」と話す。

 ブービエ氏の研究チームは、含有物内に存在する鉛の同位体比を計測した。同位体とは、通常とは質量が異なる元素のことである。後の影響を排した状態で分析すれば、含有物の絶対的な生成時期が判明する。「これまで最も古いと考えられてきた物質よりも30万~190万年前だとわかった。記録破りの結果だ」。

 200万年は宇宙レベルの時の流れからすればほんの一瞬にすぎないが、太陽系の誕生理論にとっては重要な問題となる。

 次は「鉄60」という同位体がカギを握る。鉄60は、巨大質量の恒星が超新星爆発でその一生を終えるときに形成される。通常、隕石の含有物に存在する鉄60は、太陽系が誕生したと想定される時代のおよそ200万年後に形成されたとわかっている。

 しかし、太陽系が従来の考えよりも最大200万年古く生まれたとすれば、含有物から求めた鉄60の存在量も同様に200万年さかのぼって推定する必要がある。鉄60の半減期は200万年なので、太陽系内の初期量は従来の推定のおよそ2倍になる。

 ブービエ氏は、「初期太陽系にそれほどの量の鉄60が存在する理由は、近距離での超新星爆発以外にありえない」と説明する。今回の発見は、「およそ45億7000万年前、超新星爆発が原始太陽系星雲に重金属をまき散らし、重力崩壊の引き金を引いた可能性がある」という説の裏付けになる。

「太陽系に現存するこの物質は、別の恒星が持ち込んだ。この点を理解することが重要だ」とブービエ氏は言う。「大質量星の爆発は太陽系の近くだったが、太陽系が破壊されない程度の距離は開いていた。逆に、惑星形成や生命にとって欠かせない元素をもたらしたのだ」。

 今回の研究成果は、「Nature Geoscience」誌オンライン版に8月22日付けで掲載されている。

Image courtesy NASA

文=Andrew Fazekas

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