新型インフルエンザの変異型を発見

2010.06.18
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香港の養豚場(2007年8月撮影)。

Photograph by Paul Hilton, Bloomberg/Getty Images
 昨年流行したH1N1新型インフルエンザウイルスがブタの体内に1年以上潜伏し、遺伝子レベルで大きな変化を遂げていたことが最新の研究で明らかになった。 香港の食肉処理場でブタが保有するインフルエンザウイルスを分析したところ、2009年に世界的に大流行した致死性H1N1ウイルスの遺伝子断片を内包していたという。 新たに確認された「遺伝子混合」ウイルス(2010年型H1N1)は、幸いにも人類の脅威にはならないようだ。

 香港大学でインフルエンザを研究する、今回の研究共著者マリク・ペイリス氏はその理由について、「新種ウイルスの8つの遺伝子断片のうち、人間に感染した昨年のウイルスと共通する断片は1つしかなかった」とコメントしている。

 しかし今回の発見で生じた不安は拭いきれない。他の地域でも、2009年型H1N1ウイルスが動物を宿主として遺伝的変異を遂げている可能性があるからだ。「新ウイルスの1つが2009年型H1N1に酷似していれば、再び人類に襲いかかる可能性もある。香港だけの問題でないことは確かだ」とペイリス氏は危惧する。

 このため同氏は、人に感染する可能性がある新ウイルスを特定するためにも、世界的な豚の調査を拡充するよう提唱している。

「新発見のウイルスは大きな脅威ではなく、豚肉の流通を止める必要もない。しかし、同様の変異が香港以外でも起き、別のかたちで遺伝子が組み合わされれば、人類の健康が脅かされる可能性が出てくる」。

 この研究成果は「Science」誌6月18日号に掲載されている。

Photograph by Paul Hilton, Bloomberg/Getty Images

文=Ker Than

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